寄り添うこと~牛乳で飲みたい~
ある日の在宅訪問での1コマ。
(ちなみに、ここでの在宅訪問とは患者さんの家に薬剤師が薬をお届けし、薬がしっかり服用できているか・
副作用が起きていないかということを確認することなどを指しています)
1人暮らしのおばあちゃんが膀胱炎のため抗菌薬が処方されました。
「その日の薬は、その場で飲んでもらってください」と診療所のDr.から指示があったので、
薬をお届けしたときに飲んでもらうことにしました。
薬は一般的には、水またはお白湯で飲んで頂きたいのですが、
そのおばあちゃんは「牛乳で飲みたい」と言ったのです。
私は困りました。一部の抗菌薬は、牛乳と一緒に飲むと効き目が落ちてしまうからです。
とっさに判断できず、私は薬局に電話をかけました。すると、先輩薬剤師が製薬メーカーに確認してくれることに。
後に、牛乳と一緒に飲んでも影響がないとわかりました。
皆さんは、このおばあちゃんの「牛乳で飲みたい」という発言をどう思うでしょうか。
『それはダメですよ。』と言えばよかったのかもしれません。
しかし、水を飲むとお腹をくだしてしまい、お白湯は薬を飲むのに必要な量を一度に飲めないという理由から、
温かい牛乳ならコップ1杯くらい飲めるということだったのです。
今回のケースのようには行かず、時にはNOと言わなければいけない場面もありますが、
少しでも患者さんの生活に寄り添った治療のお手伝いが出来ればよいなと改めて思いました。