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健康・お役立ち情報

2018年9月13日

飲み薬の基礎知識

今まで正しいと思っていたことが勘違いだった、ということは意外とあるものです。薬は正しく使えば自分の健康を守ってくれますが、飲み方を間違えると、効果を得られなかったり、健康を害したりする可能性もあります。今回は基本的な薬の飲み方についてご紹介します。

 

 ① 薬を飲むタイミング(用法)

 

「食前」…食事する30分くらい前に飲んでください。

 ● 直接胃粘膜に接して効果を出す薬

 ● 食事の前に胃の働きをよくし、食欲を増す薬

 ● 食べ物と一緒ではない方が、吸収や効果がよい薬

例)漢方薬やある種の胃腸薬、糖尿病薬など。

 

「食後」…食後30分以内に飲んでください。

 ● 胃の消化を助け、胃もたれなどを防ぐ薬

 ● 食べ物と一緒のほうが、吸収や効果がよい薬

 ● 胃に刺激を与える薬(食べたものが胃粘膜への刺激をやわらげてくれるため、食後の服用が適しています。)

 

「食間」…食事をしてからおよそ2時間経過してから飲んでください。

 例)食事の影響を受けやすい胃腸薬や漢方薬など

 

「頓服(とんぷく)」…症状があるときに必要に応じて飲んでください。

 

 ② どうして水が必要?

水なしで飲むことでカプセルや錠剤がのどや食道にはり付いた場合、その部分の粘膜を傷めてしまうことがあるからです。また、薬は水に溶けることで吸収がよくなり、水に溶けてから効き目を発揮するまでの時間を想定して作られているので、コップ1杯の水または、ぬるま湯で飲むようにしましょう。特に抗生物質や解熱鎮痛剤などは、多めの水で飲むことで胃の保護にもなります。ただし、チュアブル錠など、水がなくても服用できる薬もあります。

 

 ③ 水以外で飲んではダメ?

水以外の飲み物と一緒に飲むと、薬の成分が飲み物の成分と作用し合って、予期しないトラブルが起きることがあります。例えば、グレープフルーツジュースの場合、含まれている成分が薬の代謝を阻害することによって薬が効き過ぎてしまうため、血圧の薬や抗生物質などと一緒に飲むのは危険です。また牛乳やミネラルウォーターは、含まれているカルシウムやマグネシウムが薬の成分と結びついて効果が減弱することがあります。コーヒーなどのカフェイン入りの飲み物は、一部の頭痛薬や風邪薬、鼻炎薬などカフェイン入りの薬と一緒に飲むと過剰摂取になるので注意です。アルコールと薬を一緒に摂るのは、さらに危険です。お茶は、鉄分の吸収を阻害するため、貧血の薬を濃い緑茶で飲んではいけません。薬は水か白湯で飲むのが一番です。

 

 ④ 錠剤を噛み砕くといけないの?

錠剤やカプセル剤のなかにはサイズが大きいものもあり、飲みやすいように砕いたり、カプセルから出して飲んだりする人がいます。こうした飲み方をすると、薬の効果が減弱したり、副作用が起こる場合があるので、薬は処方された剤形のまま飲むようにしてください。薬の形や大きさは、胃や小腸など、どこで溶けるかを計算して成型されています。また、薬のなかには胃酸に弱いものもあり、小腸で溶けるように成型されているものもあります。もし、そのままでは飲みにくいというときには、医師・薬剤師に相談してください。

 

(この記事は吉祥院健康友の会の「友の会だより」2018年秋号に「あゆみ薬局だより」第96報として掲載されたものです)