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事務局日誌

2018年3月5日

戦争と医療、戦争と科学—講演会のお知らせ

本部のエスペランティストです。エスペランティストとはエスペラントを少しくらいでも使える人のことを言います。「こんにちは」のあいさつは「サルートン」です。是非覚えてください。世界中のどの国にも少数ながらエスペランティストがいるので、世界中であいさつができますよ!

さて、「15年戦争と日本の医学医療研究会」は来たる3月21日「軍民両用(デュアルユース)研究とは何か-科学者の使命と責任」と題して福島雅典氏(京都大学名誉教授)の講演を企画しています。
祝日ですが、職員の皆さん、薬学生の皆さん、読者の皆さんの参加を呼びかけます。
日  時:2018年3月21日(水)11:00~13:00
会  場:京都大学医学部構内 医学部先端科学研究棟1階セミナー室(大)
アクセスはこちら(構内マップの16番)
資料代 実費

医療従事者にとって、最大の敵のひとつとして「戦争」を挙げることができます。むしろ医療の第一の敵は戦争(戦闘だけではなく)だと言わねばならない時代に私たちは生きているのではないでしょうか。
戦争は遠い話ではありません。人のつながりで考えてみたとき、私たちの「友だちの友だち(の友だち)」に戦死者や戦傷者は皆無に近いでしょうが、「親の親(の親)」の中には戦死者・戦傷者がたくさんいると思います。

 

医療は戦傷者の治療など、戦争の尻ぬぐいをのみ請け負ってきたわけではなく、戦争の推進・戦争の残酷化にも大きくかかわってきたことは、ようやく広く知られるようになってきました。例えば化学兵器、細菌兵器の開発や「731部隊」(NHK:731部隊の真実 ~エリート医学者と人体実験~などご覧ください)などはそのあからさまな例でしょう。

 

戦争によって科学や医学が進歩することがあるし、軍事研究が民生研究に先行しても良い、ということを私たちは口にしてよいものでしょうか?
また科学が軍事も民生も関係のない「価値中立」だとすれば、「医学」も「薬学」も人の健康や生き死にに関係のない「価値中立」なのでしょうか。そうであっても、そうでなくても鋭く問われるのは「科学」の名のもとに活動する人間のあり方・生き方・組織の在り方ということにかわりはありません。
日本学術会議も、何度も戦争のための研究はしないと声明を出し、昨年「軍事的安全保障に関する声明」で「大学等の研究機関における軍事的安全保障研究、すなわち、軍事的な手段による国家の安全保障にかかわる研究が、学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にあることをここに確認し」、これらの声明を継承すると表明しました。(リンクはPDFです)

1949年 日本学術会議の発足にあたつて科学者としての決意表明(声明)
1950年 戦争を目的とする科学の研究には絶対に従わない決意の表明(声明)
1967年 軍事目的のための科学研究を行わない声明
2017年 軍事的安全保障研究に関する声明

 

政府が集団的安全保障を政府が容認し、「積極的平和主義」を謳いだしたもとで、学術会議が三度目の声明を出して1年です。もう一度科学のと平和・戦争のことを考えてみませんか。

再掲
15年戦争と日本の医学医療研究会」は来たる3月21日「軍民両用(デュアルユース)研究とは何か-科学者の使命と責任」と題して福島雅典氏(京都大学名誉教授)の講演を企画しています。
祝日ですが、職員の皆さん、薬学生の皆さん、読者の皆さんの参加を呼びかけます。
日  時 2018年3月21日(水)11:00~13:00
会  場 京都大学医学部構内 医学部先端科学研究棟1階セミナー室(大)
アクセスはこちら(構内マップの16番)
資料代 実費

付記:

同会のページにある「70 年間の沈黙を 破って―ドイツ精神医学精神療法神経学会 (DGPPN) の2010 年総会における会長の謝罪表明」(PDF)は必読です。