第23回国民の医薬シンポジウム
2014年11月24日,東京・全労連会館において第23回国民の医薬シンポジウムが開催されました。
簡単な感想を載せたいと思います。
午前の部は講演「歪められた医師主導臨床研究 医療従事者はいかに読み解くか」-ディオバン問題をめぐって-名郷直樹武蔵国分寺公園クリニック院長,CMECジャーナル編集長でした。
午後の部は,HPV(「子宮頸がん予防」)ワクチン被害をめぐってをテーマに,以下の報告と討論が行われました。
①接種被害者の実態と診療・補償・支援の在り方 聞き取り調査結果より後藤真紀子弁護士
②急を要するHPVワクチン副反応の実態調査 西岡久寿樹東京医科大学医療総合研究所所長
③接種推進運動の裏側―「専門家」とワクチンメーカーの怪しい関係 関口正人弁護士
④子宮頚がん予防のあり方―「検診」と「教育情報提供」の必要性・重要性 打出喜義産婦人科医師
ディオバン問題では,一般的には製薬メーカーの責任が問われていますが,今回の講演では,我々医療従事者や消費者側の問題として捉えられていました。
消費者側,主に医療従事者が,製薬メーカーの製品パンフレットだけでなく,その元論文を読んで信頼できるかどうか判断する必要があったのではないかということです。
医療の現場で,英語で書かれた臨床研究論文を読むということは簡単なことではありません。
しかし,論文の信頼性を検証するために研究方法や結果の設定方法など,読むポイントを押さえることが重要であるとの指摘は,EBMを考えるうえでも,非常に参考になりました。
午後に行われた,子宮頸がんワクチン被害の講演も非常に興味深いものでした。
ワクチンによる副反応のメカニズムが少しずつ解明されていることは,将来の治療につながり,被害を受けられた方にとって心強いことだと思います。
しかし,厚労省による副反応被害の実態調査は被害者数を少なく見せかけようとしたのではないかなど,被害に対して真摯に対応しようとしない姿勢が見られるとのことです。
これは,過去に起きたいくつもの薬害問題の要因とも重なるのではないでしょうか。
これ以上の被害拡大を防ぐために,できるだけ早期に被害の実態把握を行い,被害者の方が安心して治療を受けられる体制を整えるように訴えていく必要を感じました。
みつばち薬局上賀茂店 T