マグミット錠による高マグネシウム血症の再発症を回避できた症例
マグミット錠による高マグネシウム血症の再発症を回避できた症例を紹介します。
患者様:UTさん、80歳代女性。N医院のS医師の外来患者
UTさん宅は80歳代の夫と二人暮らしで、娘(飲食店経営)が時々様子を見に来ている。若いころは夫婦で機織りで生計を立てていた。夫はN医院から往診に来てもらっており、なごみ薬局は居宅療養管理指導で訪問をしている。
彼女は以前、自宅の近くのF薬局で薬を貰っていた。
受診が夜診になったことをきっかけになごみ薬局に来られ調剤することになった。
最初の薬交付時:しんどそうにしていた。薬手帳上はいくつか服薬していたはずだがこの時は補中益気湯の処方だけだった。
4月某日、定期薬とマグミットが処方。マグミットの用法が4T分3朝夕後と寝る前とあったのでどう分けて服用するのか疑義照会をしていた。マグミットはなごみ薬局では初めて調剤で、前の履歴にはなかった。N医院から疑義照会の返事があり朝1T夕1T寝る前2Tで服用と判明。監査を終えて投薬窓口にUTさんを呼んで指導した。
私:今日マグミットが初めてなのかどうか分からないけど出ています。大腸での水分の再吸収を抑えて便のかさを増やして排便しやすくする薬です。飲んだことありましたか?
UTさん:はい。前に飲んでいました。こないだまでは他の便の薬(麻子仁丸)がありましたけど、それは?
私:麻子仁丸のことですね。出ていますよ。1日2回から1回に減っていますけど。
UTさん:実はこのくすり(マグミット)は飲みたく無いんです。先生(私のこと)が夫の薬で家に来てくれてた時(半年ほど前)、私しんどくて横になってたことが多かったでしょ。眠たかったし、おなかは痛むし、やる気が出なかったんです。ちょうどそのころこの薬を飲んでいました。あんまりしんどいのでS医師に相談してこの薬を止めて漢方薬(補中益気湯)を飲み始めたら元気になってきて今は喜んでるんです。
私:(高マグネシウム血症だったんだ。なら無理に持って帰らせるものではない。)また具合が悪くなったら困りますね。今回マグミットは無しにしてもらいましょう。
UTさんは喜んで帰られた。本人がちゃんと覚えていたのが幸いだった。
医院には疑義照会のついでに二度とマグミットが出ないような手立てをうってほしいとお願いした。