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学術研修

2025年3月7日

薬剤師国家試験・看護師国家試験、お疲れ様でした。

本部のTです。

今年も110回薬剤師国家試験お疲れ様でした。
また、看護学生の皆さんは、114回看護師国家試験お疲れ様でした。

皆さんの合格を心から祈念しております。

私は近くの看護専門学校で薬理の授業を受け持っているので、授業を受けた生徒さんが無事国家試験に受かったかどうか、自分が薬剤師国家試験を受けたときよりもドキドキしています。

また、このブログに時々書いている薬剤師国試対策が薬学生のみなさんにとって役に立ったかどうかも気になるところです。

ということで、今回は薬剤師国試問題と看護師国試問題で気になった問題を一つづつ取り上げたいと思います。

 

薬剤師国家試験110回問87

周術期の患者において血栓症のリスクが最も高い薬剤はどれか。1つ選べ。

  1. メトホルミン塩酸塩錠
  2. サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物錠
  3. ダパグリフロジンプロピレングリコール錠
  4. ドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠
  5. セマグルチド錠

 

解説
女性ホルモンには血液凝固を促進させる作用があるため、黄体ホルモン製剤のドロスピレノンと女性ホルモン製剤のエチニルエストラジオールの合剤であるドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠が血栓症のリスクが最も高い薬です。

よって正解は4です。

ちなみにドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠(商品名:ヤーズ配合錠)は月経困難症治療薬です。

選択肢2のサクビトリルバルサルタンは心不全の薬として近年注目されている薬で、109回の国試にも出ました。

余談ですが、なんでこの問題が気になったかというと、看護学生からSERMに関して、生徒から「なんで女性ホルモンは血液凝固を促進させるのに、この薬は逆なんですか?」と質問があったのが最近の記憶として残っていたからです。

加えて、当社に入職予定の奨学生さんに「サクビトリルバルサルタンナトリウム」がまた国試に出るかもという話をしていたので、「誤りの選択肢として出たか~」と思ったからです。

 

看護師国家試験114回問題38

経口薬と飲料の関係で正しいのはどれか。

  1. テトラサイクリン系抗菌薬は、牛乳によって作用が減弱される。
  2. 非ステロイド性抗炎症薬は、炭酸飲料によって吸収速度が速まる。
  3. テオフィリンは、カフェインを含む飲料によって作用が減弱される。
  4. カルシウム拮抗薬は、グレープフルーツジュースによって作用が減弱される。

 

解説

薬学生のみなさんにとっては簡単ですね。
答えは1です。

テトラサイクリン系抗菌薬は、CaやMg,Feなどと結合するため、牛乳や鉄剤によって吸収が落ち、作用が減弱されます。

この問題が気になった理由は、間違えて選択肢4を選んだ学生がいなかったかと心配だからですね。カルシウム拮抗薬は、グレープフルーツによって「作用が減弱」ではなく「作用が増強」されます。一応、授業では説明したのですが、グレープフルーツとCa拮抗薬の組み合わせは駄目という部分だけが印象に残ってしまったのではないかと心配です。