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みつばち薬局上賀茂ブログ

2019年4月16日

多発性骨髄腫の学習会

先日、勉強会に参加してきましたが、テーマが「多発性骨髄腫」という珍しいテーマでした。この病気は完治が難しく、治療によって発症を抑え、生存期間を長くするという大まかな概要は分かっていても、調剤薬局に薬が来たことがない(少なくとも私は関与したことがない)となかなか自分で調べることもしないので丁度良い機会でした。

講師も病院の血液内科の先生が来られ、なるべく分かりやすい言葉で病気の原理やそこからどういった症状に繋がるか、検査で確定診断がされるが受診する前はどういう症状が出やすいのか、治療法としてどういう薬があるか(免疫調整薬、プロテアソーム阻害剤、HDAC阻害薬、抗体薬など)を説明して頂いたので、基本的な部分は理解することが出来ました。

ただ驚いたのは、骨髄腫は検査値や自覚症状を基に大きく「意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)」「無症候性骨髄腫」「症候性骨髄腫(臓器障害や疼痛などが出ている)」に分けられるのですが、治療が行われるのは「症候性骨髄腫」になってからのみということでした。これ以外の分類ではすぐに治療が行われず、3ヶ月に1回定期的な検査をして、発症したら治療を始めるそうなのです。

これだと、無症候性骨髄腫などの診断を受けた場合、治療もされず不安になる患者さんが多いのではと思い後で質問をしたところ、やはりその部分はネックになっているとのことでした。

理由としては「無症候性骨髄腫」の状態で治療をしても「症候性骨髄腫」になってから治療するのと治療成績に大差がなく、副作用が出やすいのみという結果だったからだそうです。ただこれは一昔前のMP療法(メルファラン+プレドニゾロン)の時の話で、現在は様々な新薬が出ていることから、無症候性骨髄腫の状態から治療が出来ないかという研究も進んでいるそうです。

多発性骨髄腫は大変な病気なので、少しでも良い治療法が出ることを望みます。

みつばち薬局上賀茂店 前田裕介