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こすもす日和

こすもすだより

2019年7月30日

知っておきたい熱中症

知っておきたい熱中症

 

熱中症はいつおこる?・・・急な暑さに要注

熱中症の発生には,気温・湿度・風速・直射日光などが関係します。「炎天下で激しい運動をするとおこるもの」というイメージがありますが、発生場所は住居が最も多い割合を占めています。家の最上階や風呂場、洗面所は湿気や熱がこもり易い為、クーラーのない場所で長時間いる場合は窓を開けたり、扇風機を活用して、気温や湿度が上がらないように注意しましょう。また、年齢が上がるにつれて室内で熱中症になりやすく、温度・湿度調節や、こまめに水分を取るなど注意が必要です。高齢者や乳幼児では発汗機能が低く、肥満で皮下脂肪が多い方は熱がこもりやすいので、熱中症になりやすく注意が必要です。

熱中症とは?

熱中症とは、暑い環境でおこる障害の総称です。体温が上がる事で体内の水分が低下し、脳への血流も低下してしまう状態で次のような病態に分けられます。

熱失神

皮膚血管が広がることによって血圧が低下し、脳血流が減少しておこります。めまい、失神、顔面そう白、呼吸回数の増加、唇のしびれなどが見られ、脈が速く弱くなります。運動をやめた直後におこる事が多いとされています。

熱疲労

たくさん汗をかき、水分の補給が追いつかない時におこる、脱水による症状です。脱力感、倦怠感、
めまい、頭痛、吐き気、集中力・判断力の低下などが見られます。

熱けいれん

たくさん汗をかいた時に、水分のみ補給していると血液の塩分(電解質)濃度が低下して、足、腕、腹部の筋肉に痛みを伴ったけいれんがおこります。

熱射病

体温が上がることで中枢機能に異常をきたした状態です。意識障害(反応が鈍い、言動がおかしい、意識がないなど)が特徴です。前ぶれとして頭痛、吐き気、めまいなども見られます。ショック症状や、全身の臓器の血管が詰まり、脳、心臓、肺、肝臓、腎臓など全身の臓器障害を合併し、死亡にいたる危険性が高くなります。

 

熱中症の応急手当

熱失神・熱疲労

①涼しい場所に運び、②衣服をゆるめて寝かせ、③水分を補給しましょう。
足を高くし、手足を末梢から中心部に向けてマッサージするのも有効です。吐き気やおう吐などで水分が補給できない場合には、病院で点滴を受ける必要があります。

熱けいれん

生理食塩水(0.9%)を補給しましょう。目安として1Lの水に約1gの食塩を加えます。
小さじ1/5で1g、3本の指でひとつまみがだいたい1~1.5gと言われています。

熱射病

死の危険性がある緊急事態なので、体を冷やしながら救急に対応している病院へ一刻も早く運ぶ必要があります。いかに早く体温を下げて意識を回復させるかが、その後の状態を左右するので現場での手当が重要です。
体温を下げるには、水に浸す方法、水をかける方法、濡れタオルを当ててあおぐ方法、首・わきの下・足の付け根など太い血管のある部分に氷やアイスパックを当てる方法が効果的です。
また、体に水の霧を吹きかけ、扇風機で風をあてる方法もあります。吹きかける場合は、冷水よりもぬるま湯を用いましょう。
アスピリンやアセトアミノフェンなどの解熱剤は効果がないため、避けましょう。
熱射病は、意識の状態と体温が重要です。意識障害が軽い事もありますが、応答が鈍い、言動がおかしいなど少しでも異常が見られる時には重症と考えて手当しましょう。

 

日常生活での注意事項

室内温度は28℃を超えないようにエアコンを上手に活用しましょう。エアコンの設定温度が24℃を下回ると外の気温と室温の差が大きく体の負担になってしまうので気をつけましょう。
また、白っぽい服を着る・通気性や吸水性のよい素材を選ぶ・首回りや襟元を緩める等、体に熱がこもらないような服装を心がけましょう。
汗をかく夏は、運動をしていなくても早めに水分補給をする事が大切です。飲む量は体格や体質、年齢によっても異なりますが、夏はたくさん汗をかく事で水分も失われるので、意識して水分をとるようにしましょう。
ただし、一度にがぶ飲みすると胃液を薄めてしまい、消化不良をおこす事につながります。飲む時は小さなコップ1杯200ml程度を、1日3回の食事の時・10時・3時・寝る前など、5~6回飲めば1日1,000~1,600ml程度の水分が補給できます。運動量が少ない場合には、水や、ミネラルが含まれる麦茶などで水分補給するとよいでしょう。

 

(この記事は2019年7月1日発行「こすもすだより」第62号として掲載されたものです)