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花ぐるま薬局ブログ

2019年4月9日

病院研修を受けて…

2019年1月から4月までの3ヶ月間京都民医連中央病院で実務研修を受けることがでました。私は新卒で京都コムファに入社して約6年間花ぐるま薬局で実務経験を積み、これまで医師の往診に同行することはありましたが、病院で研修を受けることは初めてで、これまでにない様々な経験を積むことが出来ました。

ほんの一部ではありますが、紹介したいと思います。
外来化学療法では、一般的なレジメンの中でも特に大腸がんと乳がんについて学びました。新薬の処方もありますが、従来の治療の補助的なものが多く、まずは基本のレジメンを学ぶことが大切であると思います。調剤薬局で受ける処方内容だけでは患者の化学療法の全てを推測することは難しく患者からの聞き取りも十分とは言えません。病院薬剤師と薬局薬剤師の連携が問われ、患者に安全な治療が提供できるよう私たち薬局薬剤師も常に学ぶ努力、情報収集する努力が必要です。また、便秘や嘔気などの副作用は治療の妨げになることが多く、予め予防薬の処方提案を行うことが重要であると学びました。更に脱毛や痺れなどの副作用は治療の時期により予想できる場合があり、患者への説明やウィッグの相談など様々なアドバイスができることも薬剤師として必要な能力であると感じました。

入院患者の持参薬調査をすることで処方歴だけでなく、服薬管理方法やコンプライアンスを知ることができました。また、院内採用薬への置き換えを調べることで普段扱っていない医薬品を調べる機会にもなり、用法用量が適切に処方されているかなども調べることができました。ただ、処方内容をまとめるだけではなく、妥当な処方なのか、本当に患者が管理できているのかまで踏み込んで調査することが必要であると思い、ポリファーマシーについて考えることも多くありました。かかりつけ薬局との連携や処方元への問い合わせなどができ、よい経験になりました。お薬手帳がいかに重要であるかを再認識し、今後、利用率向上に取り組みたいと思います。

また、耐性菌問題についても学びました。実際に入院中では血液や痰、尿などの検体から細菌を培養し、特定されるとより狭域の抗菌薬へ変更する「デエスカレーション」を行っていることを経験しました。しかし外来ではこういった医療は難しいと感じます。細菌の培養結果が出るまで待ち、患者が再度受診することは現実的に難しく、どうしても広域の抗菌薬を数日分処方せざるを得ないため、耐性菌が生まれやすい環境を作り出してしまいます。さらに処方された抗菌薬を最後まで飲みきる患者は少なく、大抵は症状が緩和されると飲むのをやめてしまうというデータもあるとわかりました。
3ヶ月間が短く感じる程、毎日が充実した研修でした。多くの薬剤師や医師、看護師などの他職種と交流することができ、楽しく過ごすことができました。新しい環境に身を置くことで、視野を広げて、いろいろな人の意見を聞くことができ、教わる立場になることで、改めて自分の態度を見直すきっかけにもなりました。

研修を受けるにあたって、送り出していただいた花ぐるま薬局の職員の皆様にも、受け入れていただいた中央病院薬剤部の皆様にも大変感謝しています。
多くの薬局薬剤師が病院研修を受けて、また、病院の薬剤師にも薬局で研修を受けていただいき、相互研修、交流ができればと期待しています。

花ぐるま薬局 宇野薫