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薬剤師のつぶやき

2014年3月17日

「仕事と生活習慣病」

なごみ薬局・のぶさんです。

 

民医連新聞(月3回発行の全国の民医連で働く民医連職員向けの民医連が発行している新聞)

の「本紹介」欄で紹介があった本の感想を。

 

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著者は現京都民医連中央病院院長の吉中丈志(よしなかたけし)医師。

私が上京病院(現上京診療所)に在籍した30年前に先生はその上京病院で医療活動をされていました。

心臓などの循環器を専門で診る内科のスペシャリストをめざし

神戸市民病院に研修に行きながら、

上京病院・仁和診療所でも外来をこなし

患者さんからはすこぶる評判の良い医師でした。

もちろん今も外来単位は患者さんでいっぱいです。

超忙しい中、執筆された吉中医師に敬意を表します。

 

さて本の内容ですが

タイトルの通り仕事と生活習慣病の関係について

先生の考察が書かれています。

「病気を診て、患者を診ない」と酷評される医療ですが、

民医連は患者さんの全体像を把握し、病気を引き起こしている原因は

どこから来るのかを探求することで治療の方向を探る

「生活と労働の場から患者さんを捉える」と言うことを重視しています。

1日の3分の1を労働で使う人間は

労働が起因となった疾患に罹るのは当たり前。

今では心の病気に罹患されている方が大変多いですが、

仕事に起因する心の病気がその中でも多いです。

本ではどんな職業の人がどんな病気にかかりやすいかを後半部分で、

前半では吉中医師が関わった労災職業病について

医師として成長されていく過程を症例を紹介しながら書かれています。

 

その中で宇治市のユニチカで起こっていた二硫化炭素中毒の労災は

今でも該当する患者さんのことを覚えています。

上京病院揚げて何とかしようと知恵をしぼって努力していました。

会社を相手に異議を申し立てるのは本当に至難の業だと言うことを

改めて本を読んで感じました。

 

後半部分の「仕事が原因で生活習慣病にならない方法」の章が勉強になります。

仕事の裁量とストレスの関係、それが報酬と連動しているかから始まり

職業に応じてどんな病気にかかりやすいかを解説し

そうならないためには何に気を付けるかが書かれています。

中でも医師・医療関係者の項は身につまされました。

詳しい中身は…ぜひ読んでみてください。