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事務局日誌

2022年1月12日

「自己責任論を克服し、コロナ後の世界をつくる主体に」(年末学習会報告)

12月26日、医系学生対象の年末学習企画を開催し、11名の学生さんが参加しました。今年のテーマは「『自己責任論』を考える」と題し、主権者教育や生徒参加の学校経営を研究されている宮下与兵衛先生(東京都立大学特任教授)に講演いただきました。
 

 

宮下先生は「あらゆるものを市場原理に委ね、自助努力と自己責任を押しつける新自由主義が医療や保健衛生、防災、教育体制などを破壊し貧困と格差を広げてきた」と指摘。
 

 

「日本は親ガチャの言葉に象徴されるように格差を個人の問題として捉えているが、世界では社会の問題として捉え、解決のために青年が立ち上がっている」と解説し、欧米のシティズンシップ(市民性)教育の実践を紹介しながら日本の教育との違いを明らかにしました。
 

 

また、「コロナ禍の後の世界をどう作るかが問われている。内向きの宿命論にとらわれず、政治や社会的責任から目をそらす自己責任論を克服する主体になってほしい」とメッセージを送りました。
 

 

講演後のグループディスカッションも予定時間を超えて白熱。受けてきた教育を振り返りながら内面化した価値観を認識したり、自己責任論を克服するために何ができるかを考えたりしました。
参加者の感想を一部抜粋してご紹介します。

  • 高校時代に感じていた生きづらさの正体はこれだったのかと思った。教育現場も新自由主義的価値観で生徒が評価されている。社会的なことに関してグループディスカッションをするのは初めてだったが、同世代の人たちの考え方や今まで自覚していなかった自らの考え方を見つめられて心から楽しかった(医学部1年生)
  • 新自由主義や自己責任論を克服するためには、まず自分に社会を変える力があると自覚することが大切だと思った(医学部2年生)
  • 人生における成功も失敗も自己責任なのではないかと考えていたが、問題はそんなに単純ではなく、新自由主義から始まる政治的な思想が社会を変えてしまい、自分も知らず知らずのうちに染まっていることに気づかされた(医学部5年生)
  • 政治や社会から目をそらさせるための新自由主義から卒業することが恵まれていない多くの人を対象にする私たちには特に必要なことだと感じた(薬学部3年生)