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学術研修

2022年10月31日

薬剤師国家試験対策(統合失調症治療薬まとめ)

本部のTです。
今回は国試対策向けに統合失調症とその治療薬についてまとめました。

以下に統合失調症と、その治療薬についてまとめました。

 

1.統合失調症とは

統合失調症は情緒が不安定になったり、思考がまとまりづらくなったりする精神障害です。
症状として「陽性症状」と「陰性症状」があります。

陽性症状:妄想や幻覚など
中脳辺縁系のドパミン分泌の過剰が原因と考えられている。

陰性症状:感情表現が乏しい、意欲低下、情動の平板化など
中脳皮質系のドパミン分泌の減少が原因と考えられている。

発症年齢は、典型的には10代後半から20代前半です。原因ははっきりとはわかっていませんが、遺伝的な要因とストレス等の環境的要因が複合的に関与して発症すると考えられています。

 

2.統合失調症の治療薬

治療薬には、(第1世代)定型抗精神病薬と(第2世代)非定型抗精神病薬があります。
第一選択は非定型抗精神病薬です。また、治療により症状が寛解した場合でも、再発防止のために1~2年は最低量の服用を維持する必要があります。

(第1世代)定型抗精神病薬

陽性症状のみを改善(D2受容体遮断)
制吐作用(D2受容体遮断)、鎮静作用(H1受容体遮断)もある。
・副作用:錐体外路症状(D2受容体遮断)、高プロラクチン血症(D2受容体遮断)
     悪性症候群(機序不明。ドパミンが関係?)、眠気(H1受容体遮断)、
     低血圧(α1受容体遮断)、口渇・便秘(M3受容体遮断)など

◆ フェノチアジン系:クロルプロマジン、レボメプロマジン
          ペルフェナジン、プロクロルペラジン等
◆ ブチロフェノン系:ハロペリドール、ブロムペリドール、
          ピパンペロン、スピペロン、チミペロン
◆ ベンザミド系  :スルピリド

 

  • 中脳辺縁系のドパミンD2受容体を遮断することで、陽性症状を改善します。また、ヒスタミンH1受容体とアドレナリンα1受容体等の遮断作用もあります。
  • しかし、中脳黒質-線条体下垂体前葉のドパミンD2受容体も遮断してしまうため、錐体外路症状(ジスキネジア、パーキンソン症候群=振戦、固縮、無動等)や高プロラクチン血症(無月経、乳汁分泌等)が副作用として起こる場合があります(下記の表を参照)。錐体外路症状に対しては、パーキンソン病治療薬でもあるトリヘキシフェニジルビペリデンなどの抗コリン薬が用いられます。(こちらのパーキンソン病治療薬の記事も参照下さい。)
  • 制吐作用もあり、クロルプロマジン、プロクロルペラジンは悪心、嘔吐に対しても適応があります。
  • またスルピリドは低用量で胃・十二指腸潰瘍、うつ病に用いられ、高用量で統合失調症に用いられます。

 

◎(第2世代)非定型抗精神病薬

・陽性症状改善(D2受容体遮断)、陰性症状改善(5-HT2A受容体遮断)
・副作用:錐体外路症状(定型抗精神病薬に比べて起こりにくい)、悪性症候群、
     体重増加、高血糖(機序不明)など
体重・血糖値の定期的な検査が必要
 

◆ セロトニン・ドパミン遮断薬(SDA):リスペリドン、パリペリドン、ペロスピロン、
                  ブロナンセリン、ルラシドン

  • ドパミン神経のセロトニン5-HT2A受容体にセロトニンが作用すると、ドパミンの放出が抑制されます。いわばドパミン放出にブレーキが掛けられている状態です。非定型抗精神病薬はドパミンD2受容体を遮断するだけでなく、セロトニン5-HT2A受容体を遮断する作用もあり、ドパミン放出のブレーキを解除することでドパミン分泌量を増やし、陰性症状を改善します
  • また中脳黒質-線条体においても、5-HT2A受容体を阻害することによりドパミン神経系の過度の抑制を防ぎ、錐体外路症状が定型抗精神病薬に比べて起こりにくくなっています
  • ただし、SDAは高プロラクチン血症がやや起きやすいとされています(これはSDAの受容体選択性の低さが関係していると考えられます)。

 

◆ 多受容体作用抗精神病薬(MARTA):オランザピン、クエチアピン、クロザピン、
                  アセナピン

  • MARTAは、ドパミンD2受容体遮断、セロトニン5-HT2A遮断作用だけでなく、ヒスタミンH1受容体、アドレナリンα1受容体など様々な受容体を遮断する作用があります。
  • それにより、鎮静作用も併せ持ち、錐体外路症状、高プロラクチン血症はSDAよりも起こりにくいとされています。
  • 体重増加、脂質代謝異常、血糖上昇の副作用が他の抗精神病薬より出やすく、糖尿病には原則禁忌です(舌下錠のアセナピンを除く)。
  • クロザピンはドパミンD4遮断作用もあり、特に効果が強力ですが、無顆粒球症や血糖上昇が出現しやすいため、「2種類以上の十分量の抗精神病薬を4週間以上投与しても反応がみられなかった患者」「副作用への対応が可能な登録医療機関・薬局でのみ使用が可能」「好中球数を定期的に検査する」などの投与条件があります。
    クエチアピン、オランザピンは双極性障害に対しても適応があります。

 

◆ ドパミン受容体作動薬(DPA):アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール

  • ドパミンD2受容体部分刺激作用(パーシャルアゴニスト)と、5-HT1A部分刺激作用、5-HT2A遮断作用を持ちます。
  • ドパミンが過剰なときには適度にD2受容体を遮断し、ドパミンが不足しているときには適度にD2受容体を刺激するため、錐体外路症状や高プロラクチン血症が起こりにくいです。

 

以下に抗精神病薬の作用・副作用を分類別に表にまとめました。特に太枠内と下線部はしっかり覚えておきましょう。
※下表はあくまで国試対策用の大まかなまとめです。実際は同じ分類でも薬によって、副作用の出現頻度は異なります。

 

 

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