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学術研修

2025年6月17日

第110回薬剤師国試 実践問題 問248-249

本部のTです。今回は第110回薬剤師国家試験一般問題の問248-249について取り上げ、解説したいと思います。

 

 目次 

 

一般問題(薬学実践問題)【薬理、薬剤/実務】
問 248−249

16歳女性。夜間の睡眠を十分にとっていたにもかかわらず、高校での授業中に耐え難い眠気が繰り返し生じ、居眠りすることが多くなった。そのため睡眠クリニックを受診し、指導された通りに生活習慣の改善を実施したが、2週間経っても居眠りが消失しなかった。

終夜睡眠ポリグラフ検査や反復睡眠潜時検査の結果からナルコレプシーと診断され、生活習慣の改善を継続するとともに、以下の処方が開始となった。

(処方1)
モダフィニル錠 100 mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後 14日分

 

問 248(実務)

処方1の薬剤及び用法について、この患者に説明する内容として適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 依存性が形成される可能性があること。
  2. 流通管理のため、空のPTPシートを回収すること。
  3. 脱毛の可能性があること。
  4. 服用開始後、頭痛が生じる可能性があること。
  5. 服用期間中はカフェインを含む飲料の摂取は避けること。

 

問 249(薬理)

服薬コンプライアンスは良好であったが、約1ケ月服用しても授業中の居眠り等の症状は改善しなかったため、モダフィニルが徐々に増量され、3ケ月後には300 mg/日となった。

モダフィニルの増量中に、「眠りにつくときに怖い夢ばかりみる」との訴えがあったため、処方2が追加された。その後も居眠り等の症状が十分に改善されなかったため、モダフィニル錠は処方3に変更された。

(処方2)
クロミプラミン塩酸塩錠 10 mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回 就寝前 14日分

(処方3)
メチルフェニデート塩酸塩錠 10 mg 1回1錠(1日2錠)
1日2回 朝昼食後 14日分

 

処方2および処方3のいずれかの薬物の作用機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. GABAおよびヒスタミンの遊離を促進する。
  2. アデノシンA1およびA2A受容体を遮断する。
  3. 非特異的にホスホジエステラーゼを阻害する。
  4. ドパミンおよびノルアドレナリンの再取り込みを阻害する。
  5. セロトニンおよびノルアドレナリンの再取り込みを阻害する。

 

 

✅ 問248(実務)解説

🔍 モダフィニルについて:

  • 適応:ナルコレプシー・閉塞性睡眠時無呼吸症候群など
  • 中枢刺激作用により日中の眠気を改善する
  • 作用機序の詳細は不明だが、GABA神経系の抑制作用があるとされている
  • 第1種向精神薬であり、流通管理に規定が必要
  • 依存性に注意が必要
  • 主な副作用:頭痛、不眠、動悸、口渇、体重減少など。特に頭痛は起こりやすい

 

🔍 第1種向精神薬について:

  • 2025年6月現在、主な第1種向精神薬は以下の3つ。
一般名 商品名 投与制限 適応
メチルフェニデート リタリン 30日 ナルコレプシー
コンサータ 30日 ADHD
モダフィニル モディオダール 30日 ナルコレプシーなど

 

  • 第1種向精神薬を扱う医師や医療機関および薬局は、流通管理のために、事前に登録をしなければならない。(リタリンならリタリン流通管理委員会、コンサータならADHD適正流通管理システムなど)

 

 

選択肢1:○
モダフィニルは中枢神経刺激作用を有し、精神的依存を引き起こすことがある。

 

選択肢2:×

流通管理が必要な医薬品ではあるが、PTPシートの回収義務はない。
(2025年6月現在、PTPシートの回収義務のある薬はない)

 

選択肢3:×

脱毛はモダフィニルの副作用として報告されていない。

 

選択肢4:○

頭痛は頻度の高い副作用の1つ。

 

選択肢5:×

特にカフェインとの併用注意や禁忌はない。

 

よって、答えは1,4である。

 

✅ 問249(薬理)解説

🔍各薬の作用機序まとめ:

■ クロミプラミン

  • 三環系抗うつ薬(TCA)
  • セロトニン・ノルアドレナリンの再取り込みを阻害 → 情動やREM睡眠抑制に寄与
  • ナルコレプシーに伴う情動脱力発作(カタプレキシー)や悪夢の改善に用いられる

■ メチルフェニデート

  • 中枢刺激薬
  • ドパミン・ノルアドレナリンの再取り込み阻害
  • 注意欠如・多動症(ADHD)やナルコレプシーに使用

 

選択肢1 ×

GABAおよびヒスタミンの遊離を促進する薬はない。

 

選択肢2  ×
アデノシンA2A受容体を遮断するのは、パーキンソン病治療薬のイストラデフィリンなどの作用である。

 

選択肢3  ×

非特異的にホスホジエステラーゼを阻害するのは喘息の治療薬のテオフィリンなどの作用である。

 

選択肢4 ○

メチルフェニデートの主な作用機序。

 

選択肢5 ○

クロミプラミン(三環系抗うつ薬)の作用。

 

よって、答えは4,5である。

 

・問題に対する個人的な感想:
問 248は今まであまり国試に出てこなかったモダフィニルについての問題で、難しかったのではないでしょうか。
問249は確実に正解したいところです。

 

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