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事務局日誌

2022年8月24日

2022年 薬害根絶デー

 本部のCです。
 京都コムファでは、それぞれの薬局ごとに薬害根絶デーを訴えるお知らせの入ったティッシュやビラを配布しました。コスモス薬局では街頭宣伝も行いました。


 

 

薬害根絶デー集会

 また午後からは薬害根絶デー集会に参加しました。(Web参加)
 

14:30 開会
 1. 主催者挨拶
 2. 今年の要望書 (全国薬害被害者団体連絡協議会 花井十伍さん)
 3. 「医薬品等行政評価・監視委員会」の活動と課題 (隈本邦彦さん、佐藤嗣道さん)
   緊急承認制度・ワクチン副反応へ提言しても厚労省が施策に反映しない問題点など
 4. HPVワクチン被害 (弁護団、被害者)
   裁判の現状と情勢、被害者の訴え、支援活動の紹介
 5. 学生報告 (早稲田大学現代司法研究会)
   薬害肝炎を中心とした薬害の歴史、責任の所在、被害と苦しみについて
 6. 肝炎救済法の延長問題 (浅倉美津子さん、薬害肝炎原告原告)
 7. 国会議員からの発言 
 8. 行動提起 (学生実行委員)

 

 

「医薬品等行政評価・監視委員会」

 今年の集会では、「医薬品等行政評価・監視委員会」に薬害被害関係者が参加しているものの、3ヵ月に1回2時間の会議しかなく、人的・予算的な裏付けが貧しくて、役割を発揮し切れていないこと、厚労省の医薬行政を監視するこの委員会の事務局が厚労省内にあることの矛盾などが訴えられました。

 また「薬事・食品衛生審議会」では、医薬品などの承認が十分な調査や審査も経ずに、特例承認制度、条件付き承認制度、さきがけ審査指定制度、再生医療品等承認制度、緊急承認制度などの次々とつくられる例外制度によって、短時間の審査で承認され、「評価・監査委員会」の疑義にもかかわらず上市されている(販売・流通している)ことが報告されました。新型コロナワクチンや治療薬についても、「緊急」の名のもとに十分なエビデンスや安全性の確認がされないまま使用される制度になっています。
 

 

HPVワクチン

 HPVワクチンは、被害者の声も聞かず、「被害者に寄り添った対応がされている」「科学的にワクチンの安全性が確かめられた」などとして勧奨が再開されました。裁判の弁護団と被害者から、こうした勧奨の口実となるような実態はないこと、ワクチン接種勧奨の再開から副反応の訴えが続いていることなどの報告がありました。
 被害者の方からは症状のない日は一日もなく、思うようにまともに働くこともできない苦しい日々について訴えがありました。一日一刻も早く元の身体に戻してもらうことが被害者の方の願いです。
 

 

薬害肝炎

 薬害肝炎はC型肝炎ウイルスに汚染された止血剤の使用が原因で、出産時の出血に対して多く使われました。なので、出産直後から肝炎症状に苦しめられ・悩まされ、(大事な子育ての時期に)病気になった自分を責める日々が続いたと訴えられました。

 薬害肝炎救済法の延長問題については、特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法の救済期限延長問題と劇症肝炎での死亡例の救済のことが特に訴えられました。

 同措置法(肝炎救済法)の第五条によると、来年2023年1月16日までに請求しなければならないのですが、被害者が多いことから、その延長が求められています。

(給付金の請求期限)
第五条
 給付金の支給の請求は、次に掲げる日のいずれか遅い日までに行わなければならない。
 この法律の施行の日(平成20年1月16日)から起算して十五年を経過する日(次号において「経過日」という。)
 特定フィブリノゲン製剤又は特定血液凝固第Ⅸ因子製剤の投与を受けたことによってC型肝炎ウイルスに感染したことを原因とする損害賠償についての訴えの提起又は和解若しくは調停の申立て(その相手方に国が含まれているものに限る。)を経過日以前にした場合における当該損害賠償についての判決が確定した日又は和解若しくは調停が成立した日から起算して一月を経過する日

 また、同法の第六条によると、薬害肝炎で慢性肝炎への経過をたどらず、劇症型肝炎となり死亡した方は「死亡」としての救済が受けられない定めになっています。これを改善し、救済する必要があるとのことでした。

(給付金の額)
第六条 給付金の額は、次の各号に掲げる特定C型肝炎ウイルス感染者の区分に応じ、当該各号に定める額とする。
 慢性C型肝炎が進行して、肝硬変若しくは肝がんに罹り患し、又は死亡した者 四千万円
 慢性C型肝炎に罹患した者 二千万円
 前二号に掲げる者以外の者 千二百万円

 

 

薬害を防ぐために

 薬害は製薬会社・販売会社、行政、大学・学術機関などの態度や行動が原因である場合に以下のような要因が複合的に関係しています。

1)危険情報の軽視
 開発の時点で気づいていた重大な副作用を、注意して使えば大丈夫として、医療現場に伝えない。
2)適応の拡大、拡販
 臨床試験で有用性が認められた範囲を超えて拡販する。
3)発売中止・回収の遅れ
 問題とわかった後も、売り続ける。間違いを認めない。
4)情報の捏造や隠蔽
 有害事象を否定したり、薬剤の有効性を過渡に評価するような研究発表を行って、当該薬剤の使用を合理化・正当化する。

 薬害を防ぐには、行政がしっかり新薬等を審査をし、薬の開発・製造・販売に利害関係のない第三者がきちんと監視するしくみが必要と思われます。しかし本日の集会では、その仕組みが不十分であることが強調されたと思います。

 薬害の防止のために、しっかり監視と学びを広げ、薬害防止の機構・仕組みの強化を訴えていきたいと思います。また薬害とその被害そのものについて伝えていくことも、これを「風化」させないために大切だと思いました。