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事務局日誌

2023年1月16日

キング牧師と戦争と社会保障

本部のKです。
今日、1月の第三月曜は「キング牧師記念日」としてアメリカでは祝日なのだそうです。

黒人差別の廃止と黒人の地位向上の運動で知られたキング牧師ですが、ベトナム戦争に反対したことでも有名なのだそうです。恥ずかしながら知りませんでした。
そのキング牧師は1967年4月4日、ニューヨーク市のリバーサイド教会で「Beyond Vietnam — A Time to Break Silence」という演説をしています。その最後の方で次のように述べました。

Martin Luther King, Jr. 《Beyond Vietnam — A Time to Break Silence》 (Delivered 4 April 1967, Riverside Church, New York City)より

     …A nation that continues year after year to spend more money on military defense than on programs of social uplift is approaching spiritual death.
      
    

…年々、社会保障よりも軍事費に多くのお金を費やしている国は、精神的な死に近づいている。

 

 

「spiritual death」はキリスト教の言葉なので、信者でもない私は軽々には訳せないですが、地に帰る肉体と神とつながっている魂とに分けたときに、せっかくキリストが救ってくれた人間の魂は神と切り離され死に向かっている、換言すれば「肉体は生きていても人間らしさが失われつつある」ということでしょうか。

 

 

日本が金額として社会保障(2022年度36兆円)よりも軍事費(防衛費、約5.4兆円)に支出するようになったら終わりですが、高齢社会が進んでいる日本の社会保障費は毎年増えなければならないはずです。しかし「自然増」は毎年抑制され、この10年間で2兆3000億円も削減されました。
2023年度予算も1500億円自然増を減らすと言います。去年と同じ社会保障サービスを受けるのに、医療機関・薬局の報酬を減らし、患者負担を増やし、コロナ対策の手当を減らす、というのです。
一方で、この5年で軍事費は倍にすると岸田内閣は閣議決定しました。
 

 

     5年間で約43兆円の防衛費の大幅増は、27年度に国内総生産(GDP)比2%まで到達させる規模で、年11兆円に相当する。現在の防衛費は年6兆円前後(補正予算を含む)で、防衛費を補完する予算と位置付ける科学技術予算などを踏まえると、新たに4〜5兆円の財源が必要となる見通し。
(東京新聞「5年間で43兆円増の防衛費、「足りないところは税」で国民負担に」2022年12月7日)

 

 

医療や介護・福祉に従事している人たちの処遇は良くならず、利用している患者・利用者は保険料や利用料の値上げが続いています。
他国との緊張を高め、米軍の戦争に巻き込まれる恐れのある軍拡はやめ、安心して利用できるよう、社会保障を充実させることを要求します。