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平和・社会保障

2024年3月23日

2023年の手遅れ事例調査

 全日本民医連は「2023年経済的事由による手遅れ死亡事例」の調査報告を発表しました
 22都道府県から48の死亡事例が報告されました。22年の調査から2件増えました。
 20年は40件、21年は5件増の45件、22年は1件増の46件でした。
 受診前に無保険だった事例は22件(46%)でした。
 24件(49%)は国民健康保険証などの保険証を所持していました。「入院になれば医療費が高額になる」として治療を諦めまた例もありました。保険証を所持していても窓口負担などが理由で受診できない実態があります。
 事業所への相談・受診に至った経路では、「救急搬送」が21件となり、外来受診などの他の経路を圧倒しました。「困窮から受診をがまんし、限界に達した事例」としています。
 無保険者をつくらせない抜本的な対策が必要です。また保険証を持っていても手遅れになるまで受診できないような医療費の窓口負担を改めなければなりません。事例は氷山の一角にすぎないのですから。
 

 
     年金収入だけでは医療にかかれない

事例:70代男性。2年前にすい臓がんと診断され、抗がん剤治療を開始したが1回5万円必要で、払えず1回のみで終了し、受診も中断。自宅で衰弱しているところを発見され民医連の病院で対応し、自宅退院したが退院後25日で亡くなられた。

持ち家あり、年金10万円弱で保護基準以上だったが保護申請。抗がん剤治療を続けることができれば予後は違ったはず。

 
 

 

 
       コロナ禍背景に

事例:60代男性。アパート・無保険。2020年夏、コロナ禍により飲食店勤務のシフトが減らされ、2022年夏に体調不良で退職。所持金200円で生活保護を勧められたが拒否。
2022年12月にスーパーでバイトを開始。民医連の無料低額診療を利用し、2023年2月受診。3月に入院の予約をするが、入院予定日に自宅で意識喪失しているところを発見され、救急搬送されるもそのまま亡くなられた。