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こすもす日和

こすもすだより

2018年11月19日

糖尿病の合併症

糖尿病は、インスリンの作用が十分でないためブドウ糖が有効に使われず、血糖値が高くなっている状態のことです。放置すると全身にさまざまな影響が出て、合併症が起こる可能性が高くなります。治療をきちんと行い、血糖コントロールをすることで、新たな合併症が起こるのを防ぎ、また起きてしまった合併症の進行を抑えることができます。糖尿病に特有の合併症は、「細小血管合併症」と呼ばれ、細い血管が障害されます。

①神経障害、②網膜症、③腎症の3つです。この順番で合併症が起きてくることが多いとされます。

 

糖尿病が進行するとこんなことに…

 

糖尿病性神経障害

神経障害は、両足の指先がしびれたり、びりびりしたりします。細い血管が障害されて血流が悪くなると、神経細胞への血液の供給が途絶えてしまうため、自律神経にも障害が起こります。

その場合、発汗異常、立ちくらみ、便通異常、排尿障害などの症状があらわれます。痛みを感じにくくなるため、ちょっとした足の傷やヤケドに気づかず治療が遅れ、壊疽(えそ)になって足を切断することもあります。

 

糖尿病性網膜症

網膜はカメラではフィルムにあたり、視力でもっとも重要な部分で、眼の一番奥(眼底)にあります。糖尿病ではこの網膜の障害が起こります。初期の段階では自覚症状がないことが多く、自分で気付くことはできません。また一般の健康診断や人間ドッグの視力検査や眼底検査では、眼底の一部しか写らず、網膜症は毛細血管瘤という小さな血管のこぶから始まるため、きちんと眼科を受診し、瞳孔を開く散瞳薬を使用して診てもらわないと分かりません。糖尿病と言われたら、最低1年に1回は眼科に行くことが大事です。そして網膜症を予防するためには、血糖コントロールを良好にすることが一番大事です。

 

糖尿病性腎症

腎臓は、血液をろ過して体に不要な老廃物を尿として排泄します。糖尿病性腎症になると、ろ過の役割をしている「糸球体」の毛細血管がそこなわれて、腎臓の機能が障害されてしまいます。糖尿病が原因で、毎年多くの人が透析導入されています。腎症は尿にたんぱくが出てくるため、尿検査をする必要があります。したがって、定期的な血液検査と尿検査が大事です。

尿検査をして「微量アルブミン尿」という微量のタンパク尿の段階で早期の腎症を発見することが大事です。この段階であれば、良好な血糖と血圧のコントロールを続ければ、また正常に戻ります。腎症の発症を予防し、進行を阻止するためには、血糖と血圧の良好なコントロールが大事です。

 

大きな血管が障害される合併症

細い血管の障害に対し、太い血管では高血糖の状態が続くと動脈硬化が加速します。動脈硬化は動脈の内側にさまざまな物質が沈着して厚く、硬くなり、隆起(プラーク)ができる状態で、糖尿病でなくても、高血圧、脂質異常症、喫煙、肥満などによりおこります。

動脈硬化症は糖尿病特有の合併症ではありませんが、糖尿病ではより起こりやすくなります。動脈硬化が進むと、血流が途絶え、血管にこびりついているプラークがはがれて血管に詰まり、重要な臓器に障害を起こします。脳梗塞、狭心症・心筋梗塞などや閉塞性動脈硬化症があります。

 

(この記事は2018年7月1日発行「こすもすだより」第58号として掲載されたものです)