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こすもす日和

こすもすだより

2018年11月19日

漢方について 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)

胃腸の働きをよくする漢方薬です。主薬の「半夏」は吐き気を抑えるための重要な生薬です。瀉心湯類に特徴的な「黄芩」と「黄連」の組み合わせは、みぞおちの張りやつっかえをとり熱や炎症をさまします。さらに、健胃作用や緩和作用のある「乾姜」「大棗」「甘草」などで構成されています。

 

配合生薬

半夏(ハンゲ)   サトイモ科ハンゲ属カラスビシャクの球状根茎を乾燥させたもの。吐き気を抑える作用があり、また、頭痛・咳・痰・寒気・眩暈などの症状の緩和にも用いられる

甘草(カンゾウ)  カンゾウの根(一部の種類は根茎を含む)を乾燥させたもの。喉の痛みや咳を鎮める作用、各種生薬を緩和・調和するとされている

人参(ニンジン)  ウコギ科オタネニンジンの根を乾燥させたもの。野菜のニンジンとは全く別物。ストレスや疲労を取り除く効果がある他、消化不良、食欲不振、嘔吐などに効果があり、自律神経の乱れを整える作用もある

大棗(タイソウ)  ナツメまたはその近縁植物の実を乾燥させたもの。激烈な作用の薬物に配合すると性質をやわらげて胃腸の負担を軽減する

黄芩(オウゴン)  コガネバナ(コガネヤナギ)の根を乾燥したもの。各種の漢方処方に配合して広く用いられる。消炎・解熱薬として炎症・充血・発熱を伴う病気に用いられ、主にみぞおちから両脇にかけて重苦しい感じがあり、息がつまるような感じがあるときに用いられる

黄連(オウレン)  キンポウゲ科のオウレンの根茎を乾燥させたもの。嘔吐や下痢、腹痛などの胃腸症状に効果があると言われている。また、抗炎症作用や抗菌作用もあり、結膜炎や口内炎などにも効果があるとされている

乾姜(カンキョウ) ショウガの根茎の表皮を取り去り、蒸して乾燥させたもの。生姜と同じく、体を温める効果があり、胃腸の機能低下防止などに使われることが多い。また、嘔吐や咳、下痢、手足の冷えなどに効果がある

 

こんな症状に効きます(効能)

食欲不振や胃もたれ、吐き気や嘔吐があるとき、お腹がゴロゴロして下痢気味の人に適します。最近では逆流性食道炎の治療や、「猪苓(ちょれい)湯(とう)」「十味敗毒(じゅうみはいどく)湯(とう)」との併用で痛風の治療に使われたりします。抗がん剤や放射線の副作用による下痢にも効果があります。

 

適応する体質

特に体質は問いませんが、体力のない人にはやや向きません。

 

副作用や注意点

配合生薬に甘草が含まれているので、大量服用により、浮腫(むくみ)を生じたり、血圧が上がってくることがあります。

 

 

(この記事は2018年7月1日発行「こすもすだより」第58号として掲載されたものです)