いのちと健康を守る「架け橋」に いのちと健康を守る「架け橋」に

ご利用のみなさまへ

2021年8月24日

2021年薬害根絶デーの活動

本部のTです。
本日8月24日は薬害根絶デーです。

そのため、午前は薬局前での宣伝活動を行い、午後はオンライン集会に参加しました。

  • オンライン集会については業務の都合上、一部しか参加できませんでしたが、HPVワクチンの薬害についてあらためて学ぶことができ、また薬害被害者のお話を聞くことができました。
  • ワクチンは、「予防する疾病についての情報」、「有効性」、「危険性」、「ワクチン以外の予防手段」等についてきちんと情報提供がなされなければなりません。
    しかし、HPVワクチンが国によって推奨された時は、これらのいずれの情報についても不十分であり、誤解を与える表現が多数ありました。例えば、子宮頸がんの内、16/18型ヒトパピローマウイルスを原因とするものは50%程度であることやワクチンの有効性・持続性が明確ではないことの情報提供はなく、まるでHPVワクチンを接種すれば、必ず子宮頸がんを防げるかのような印象を与える宣伝がなされました。
  • また、ワクチンとの関連性が証明されていないものも含め、有害事象はすべて情報提供されなければなりませんが、HPVによる重篤な自己免疫疾患についての情報提供はありませんでした。
  • 結果として、HPVワクチンを多くの人が摂取し、副作用に悩む人が多く出ました。
    「ワクチンによって自分と家族の人生が破壊された」「裁判に勝って、治療法が確立したら、元の生活に戻れると信じ、毎日闘っている」との薬害被害者の声に、思わず胸に込み上げるものがありました。
  • また、新型コロナウイルスのワクチンについても、その副作用を注視していかなければならないことや、国によってワクチン接種が強制されたり、ワクチンを摂取していない人が差別されたりするような状況になってはいけないという意見が出ていました。

 

 

午前に行った薬局前での宣伝活動の内容を以下に抜粋いたします。

 

誓いの碑

今から22年前の1999年8月24日、厚生労働省は薬害エイズ事件を反省し、薬害再発防止を決意する「誓いの碑」を庁舎正面にたてました。そして、サリドマイド・スモン・薬害エイズなどの悲惨な薬害を引き起こした反省と謝罪がなされました。

しかし、今なお新たな薬害が生み出され、適切な救済がなされぬまま、被害とたたかっておられる方がたくさんいらっしゃいます。
私達は、薬害の根絶と被害者救済を願い、毎年この日に薬害根絶のための行動を行っています。

 

薬害肝炎

薬害肝炎とは、出産・手術の際に止血剤として使われた血液製剤によりC型肝炎に感染する被害を引き起こした事件です。
肝炎による体のだるさ、また、その治療として用いられるインターフェロンの副作用である、倦怠感・食欲不振・不眠。その後にくる、うつ症状、そして高額の治療費。
「命の誕生」という幸せな場面が、安全であるべき薬によって侵される。そして、生まれてきたわが子に「決して、あなたが生まれてきたせいではないのよ」と言わずにはいられない、母としての思い。このような悲劇が繰り返されてはなりません。

 

薬害HIV

薬害HIVとは、エイズウィルスにより汚染された血液凝固因子製剤により、血友病患者がHIVに感染した事件です。日本には約5000名いる血友病患者の3割、約15OO名がHIVに感染しました。
被害者は言われなき偏見により差別を受け社会から排除され、さらに感染告知が遅れ、二次・三次感染の被害もうまれました。

 

サリドマイド

1950年代、「くせにならない睡眠薬」としてサリドマイドが販売され、医療用医薬品のほか一般用の薬としても世界中で販売されました。しかし、この薬が販売されてから、世界各地で手足や耳などに奇形をもった子どもたちが次々と生まれました。サリドマイドには催奇形性があったのです。1961年1月に西ドイツの小児科医レンツ博士はサリドマイドが原因である可能性を警告し、その10日後にヨーロッパではサリドマイドの製造・販売が中止されました。しかし、当時の厚生省はレンツ博士の警告に耳を傾けることなく、1年半以上も販売を続け、ようやく1962年の9月に販売を中止しました。

 

キノホルム(スモン)

1930年代に胃腸薬として販売されたキノホルム。この薬には亜急性脊髄視神経障害(スモン)という副作用があり、これは両下肢末端の激しい異常知覚と痛み、視神経障害、腹痛、下痢などの症状を特徴とします。1935年にアルゼンチンの医師がキノホルムによるスモンを報告していたにも関わらず、日本では1970年まで販売され続け、1万人以上の被害者を生むことになりました。

 

イレッサ

肺がん治療薬のイレッサは、申請から5カ月という異例の早さで承認され、治験段階で間質性肺炎による死亡例があったにもかかわらず、「副作用の少ない抗がん剤」という宣伝の下、販売されました。そして、間質性肺炎などの重篤な副作用によって、800人以上の方がなくなる悲劇を生みました。
2004年に提訴し、それから8年もの長きにわたってイレッサによる薬害事件として、裁判で争われました。
2013年4月に最高裁判所は、製薬企業の法的責任を否定する判決を出しました。
しかし、このイレッサという抗がん剤の副作用によって多数の死亡者をだしたという事実は、国と製薬企業が防ぐことのできた薬害事件であったという歴史的事実に変わりはありません。

 

薬害の根絶を目指して

薬害は、単なる薬の副作用ではありません。医薬品の有害性に関する情報を、加害者らが、故意にせよ過失にせよ、軽視・無視した結果、社会的に引き起こされる人災的な健康被害です。重大な副作用がおこることを知りながら、製薬企業の利益追求のために販売を続けた結果や、危険性を察知した厚労省が早期に販売の申止を指示しなかったことによって、大量の副作用被害者が発生してしまった、「薬害」です。薬害を根絶するためには、人の命や健康より利益を優先する製薬企業の姿勢、行政の怠慢を正さなければなりません。

 

薬剤師の責任

薬を直接皆さんにお渡しするのは、わたしたち薬剤師です。薬に関しては、皆さんの一番身近にいる存在です。だからこそ、薬の安全性・有効性に関して、注視していかなければなりません。
薬物治療が医療の中心である以上、薬剤師の責任はたいへん重いと考えています。薬による理不尽な被害を繰り返さない意思を持って、私たちが、薬害の芽を見抜く感度をみがくことが重要だと思っています。
繰り返される薬害の連鎖を断ち切るために、わたしたち薬剤師は、積極的に関わっていかなければと考えています。

本日は薬害被害者団体連絡会の方々が厚生労働省や文部科学省と交渉を行っていると同時に、全国の薬害被害者・弁護団・支援者が薬害防止を訴えています。
わたしたちは、これからも被害者の方々とともに、薬害根絶に向けて活動を継続していきます。
 

 

 

参考(外部リンク)

●2021年8月24日付、全国薬害被害者団体連絡協議会から厚生労働省への「要望書」(PDF)

  1. COVD-19ワクチンについて
  2. HPVワクチンへの対応について
  3. 医薬品副作用被害救済制度の充実について
  4. 予防接種救済制度の適正運用について
  5. 陣痛促進剤による被害の防止について
  6. サリドマイドおよび類似薬のリスク管理システムについて
  7. 薬害教育について
  8. 筋短縮症被害者対策について
  9. 薬害資料館について
  10. COVID-19の治療薬について
  11. フィブリノゲン製剤の適応拡大について

また薬害根絶デー当日に、HPVワクチン薬害全国原告団・弁護団は、9価HPVワクチン(シルガード9)の定期接種化に反対する意見書を、田村憲久厚生労働大臣及び大西真厚生労働省ワクチン評価小委員会委員長へ提出したとのことです。