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健康・お役立ち情報

2022年2月25日

みつばち便り~コロナの飲み薬の現状~

 

オミクロン株の収束の兆しがまだ見えてない状態ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。重症化する人は少ないものの、感染力が強く、もう少しかかるのかなという印象です。

前回10月にはコロナの飲み薬の話をしましたが、12月下旬にメルク社の「ラゲブリオカプセル」が初めての内服薬として承認されました。また、つい先日はファイザー社の「パキロビッドパック」が承認され、2種類の内服薬が存在しています。

 

どちらも細かいデータは少ないのですが、ラゲブリオカプセルに関しては1か月後の市販直後調査にて、全国で約5640人に投与されたと報告がありました。また、京都に関しては報告された数字で1か月で約300人に投与されたと聞いています。

 

この数字を聞いて「少なくないか?」と思った人もいるのではないでしょうか。

実は誰にでも投与出来るわけではなく、61歳以上や慢性腎臓病、重度の肝障害、糖尿病などの重症化しやすい患者さんのみに投与するよう呼びかけられているからです。元々治験の際にそういった患者さんを対象にしていたこともありますが、薬の数も限られているので、重症化の数を減らして病床数を圧迫しないようしていると考えられます。

ちなみにラゲブリオカプセルの効果に関しては入院のリスクを約30%減らすとされています。副作用に関しては、下痢や吐き気、めまいや発疹などが比較的出やすいようです。

 

パキロビッドパックに関しては、承認されたばかりで殆ど使用されていないとは思います。効果は入院のリスクが80%以上を減らせるというかなり効果の高いものである一方で、併用禁忌(絶対に併用してはいけない薬)が30種類以上もあります。高血圧や不整脈、血流を改善する薬に睡眠導入剤など高齢の患者さんでは飲まれている方が多い薬がかなり含まれていて、薬剤師としては今まで以上に飲み合わせの注意をしないといけないなと感じています。実際、飲んでいる薬の名前をきちんと確認しないと調剤出来ないことになっています。

 

最近は薬局におくすり手帳を持参される方も多くいらっしゃいますが、「病院に行くときだけ」の人も多いのではないでしょうか。何かあった時に(今回のケースで言えばコロナにかかった時に)すぐにおくすり手帳を出せるよう、常に身近に置いておくことを改めてお勧めします。

(文章:みつばち薬局上賀茂店 薬局長 前田裕介)