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健康・お役立ち情報

2018年7月19日

こむら返りの原因・予防法・治療


■原因
こむら返りとは、ふくらはぎの筋肉が痙攣を起こし、ひきつる状態をいいます。
本人の意思とは関係なく突然、筋が強く収縮し、収縮が数秒から数分間持続し、強い痛みを感じます。健康な人も激しい運動をしている最中や就寝中、妊娠後期などに起こりやすいですが、ほとんどは一過性で予後は良好です。

こむら返りの原因の種類
運動に関連 過激な運動、長時間の歩行・立ち仕事、水泳、高温環境下での労働
電解質異常 下痢、嘔吐、脱水、血液透析
高齢者、妊娠後期 多くは夜間就寝中
血管病変 閉塞性血栓血管炎(バージヤー病)
非神経疾患 肝硬変、糖尿病、甲状腺機能低下症
神経筋疾患 脳血管障害、末梢神経障害、腰部脊柱管狭窄症、運動ニューロン疾患、筋疾患、里吉病 (全身こむら返り病:全身の脱毛や下痢、骨・関節の異常を伴うまれな疾患)
薬の作用 降圧薬、利尿薬、脂質異常治療薬、抗悪性腫瘍薬、H2プロッカーなど

 

■予防法

①水分、ビタミン・ミネラル(特にビタミンEとマグネシウム)不足には注意が必要です。バランスよく摂りましょう。

ビタミンEを多く含む食材(塩分、コレステロールなどが多いので摂リ過ぎには注意が必要)

  • 植物油(ひまわり油・米ぬか油・大豆油・べにばな油)
  • 種実類(アーモンド・カシューナッツ・ひまわりの種・落花生)
  • 魚の卵や肝(あんこうの肝・からすみ・たらこ・いくら・鮎・うなぎ)
  • 野菜(西洋かぼちゃ、大根の葉・赤ピーマン)


 

 

 

 

 

 

 

マグネシウムを多く含む食材

  • 種実類(ひまわりの種・いりごま・アーモンド・乾煎りの落花生)
  • 豆類(きな粉・煎り大豆・油揚げ・木綿豆腐・納豆)
  • 魚介類(干しエビ・カタクチイワシ・するめ・サバ節・あさリ)
  • 海藻類(あおさ・青のり・昆布・焼きのり・わかめ)
  • 野菜類(枝豆・オクラ・ゴボウ・ほうれん草・トウモロコシ)


 

 

 

 

 

 

 

 

カリウムを多く含む食品

  • バナナ・干しぶどう・落花生・ほうれん草・りんご・牛乳・緑黄色野菜

 

 

 

カルシウムを多く含む食品

  • 乳製品(牛乳、チーズなど)、小魚、大豆製品

 

②睡眠不足の解消

③適度な運動

推奨される一日の理想の歩数は、1万歩と言われています。距離にしておよそ7~8km、時間にしておよそ1時間半です。それだけ歩くのが難しい場合は、スクワットを1日15~20回やるだけでも効果があるのでお勧めです。

 

④ストレッチやマッサージ

ストレッチは適度な運動と併せて行えばより効果的です。マッサージは筋肉をほぐすマッサージだけでなく、鼠径部(太ももの付け根)や膝の裏のリンパを刺激するリンパマッサージもお勧めです



 

こむら返りの応急処置

安静にして、筋肉を伸ばします。伸ばすときは一気に無理矢理伸ばすと筋肉組織が損傷し、肉離れに発展してしまうこともあるため慎重に行って下さい。伸ばし方は足の親指を持って(つま先でも可)、足を頭の方向へ近づけようとするとふくらはぎの部分が伸びます。反動は付けずに深く伸ばすようにすると効果的です。痛みが引いた直後は極力運動を再開せずしばらくは歩くなど、ジョギング程度の軽い運動までにしておき、入念なストレッチでクールダウンをするようにしましょう。

 

■治療

  • 芍薬甘草湯は、即効性があり、第一選択薬とされています。成分の芍薬と甘草には筋弛緩作用があります。副作用(浮腫、高血圧、筋力低下など)症状が現れた場合、減量または中止が必要です。
  • 消炎鎮痛作用のある外用薬(塗布・貼付薬)が使われることがあります。
  • 症状がひどい場合には、筋弛緩薬、抗けいれん薬などが処方されることもあります。
  • 基礎疾患が明らかな場合には、その疾患に応じた薬剤を選択します。

 

(この記事は吉祥院健康友の会の「友の会だより」2018年夏号に「あゆみ薬局だより」第95報として掲載されたものです)

 

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