こむら返りの原因・予防法・治療
■原因
こむら返りとは、ふくらはぎの筋肉が痙攣を起こし、ひきつる状態をいいます。
本人の意思とは関係なく突然、筋が強く収縮し、収縮が数秒から数分間持続し、強い痛みを感じます。健康な人も激しい運動をしている最中や就寝中、妊娠後期などに起こりやすいですが、ほとんどは一過性で予後は良好です。
こむら返りの原因の種類 | |
運動に関連 | 過激な運動、長時間の歩行・立ち仕事、水泳、高温環境下での労働 |
電解質異常 | 下痢、嘔吐、脱水、血液透析 |
高齢者、妊娠後期 | 多くは夜間就寝中 |
血管病変 | 閉塞性血栓血管炎(バージヤー病) |
非神経疾患 | 肝硬変、糖尿病、甲状腺機能低下症 |
神経筋疾患 | 脳血管障害、末梢神経障害、腰部脊柱管狭窄症、運動ニューロン疾患、筋疾患、里吉病 (全身こむら返り病:全身の脱毛や下痢、骨・関節の異常を伴うまれな疾患) |
薬の作用 | 降圧薬、利尿薬、脂質異常治療薬、抗悪性腫瘍薬、H2プロッカーなど |
■予防法
①水分、ビタミン・ミネラル(特にビタミンEとマグネシウム)不足には注意が必要です。バランスよく摂りましょう。
ビタミンEを多く含む食材(塩分、コレステロールなどが多いので摂リ過ぎには注意が必要)
- 植物油(ひまわり油・米ぬか油・大豆油・べにばな油)
- 種実類(アーモンド・カシューナッツ・ひまわりの種・落花生)
- 魚の卵や肝(あんこうの肝・からすみ・たらこ・いくら・鮎・うなぎ)
- 野菜(西洋かぼちゃ、大根の葉・赤ピーマン)
マグネシウムを多く含む食材
- 種実類(ひまわりの種・いりごま・アーモンド・乾煎りの落花生)
- 豆類(きな粉・煎り大豆・油揚げ・木綿豆腐・納豆)
- 魚介類(干しエビ・カタクチイワシ・するめ・サバ節・あさリ)
- 海藻類(あおさ・青のり・昆布・焼きのり・わかめ)
- 野菜類(枝豆・オクラ・ゴボウ・ほうれん草・トウモロコシ)
カリウムを多く含む食品
- バナナ・干しぶどう・落花生・ほうれん草・りんご・牛乳・緑黄色野菜
カルシウムを多く含む食品
- 乳製品(牛乳、チーズなど)、小魚、大豆製品
②睡眠不足の解消
③適度な運動
推奨される一日の理想の歩数は、1万歩と言われています。距離にしておよそ7~8km、時間にしておよそ1時間半です。それだけ歩くのが難しい場合は、スクワットを1日15~20回やるだけでも効果があるのでお勧めです。
④ストレッチやマッサージ
ストレッチは適度な運動と併せて行えばより効果的です。マッサージは筋肉をほぐすマッサージだけでなく、鼠径部(太ももの付け根)や膝の裏のリンパを刺激するリンパマッサージもお勧めです
こむら返りの応急処置安静にして、筋肉を伸ばします。伸ばすときは一気に無理矢理伸ばすと筋肉組織が損傷し、肉離れに発展してしまうこともあるため慎重に行って下さい。伸ばし方は足の親指を持って(つま先でも可)、足を頭の方向へ近づけようとするとふくらはぎの部分が伸びます。反動は付けずに深く伸ばすようにすると効果的です。痛みが引いた直後は極力運動を再開せずしばらくは歩くなど、ジョギング程度の軽い運動までにしておき、入念なストレッチでクールダウンをするようにしましょう。 |
■治療
- 芍薬甘草湯は、即効性があり、第一選択薬とされています。成分の芍薬と甘草には筋弛緩作用があります。副作用(浮腫、高血圧、筋力低下など)症状が現れた場合、減量または中止が必要です。
- 消炎鎮痛作用のある外用薬(塗布・貼付薬)が使われることがあります。
- 症状がひどい場合には、筋弛緩薬、抗けいれん薬などが処方されることもあります。
- 基礎疾患が明らかな場合には、その疾患に応じた薬剤を選択します。
(この記事は吉祥院健康友の会の「友の会だより」2018年夏号に「あゆみ薬局だより」第95報として掲載されたものです)
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