いのちと健康を守る「架け橋」に いのちと健康を守る「架け橋」に

事務局日誌

2018年10月23日

韓国の憲法のはなしを聞きました

本部のエスペランティストです。

エスペラントは約100年前に考案された国際共通語です。数百万人のエスペラントを解する人が世界中に少しずつ散らばっているそうです。世界エスペラント協会はUNESCOなどとも連携して、言語権にかかわる取り組みもしています。

 

さて、10月12日から14日まで、日本と韓国のエスペラント大会が合同で、奈良市で開催されました。私も少しだけ参加してきました。
日本と韓国の合同の大会は2回目ですが、青年の交流会や学習会など、日韓・日中韓・アジアなどさまざまな催しがちょくちょく開催されています。ベトナムも比較的エスペラントを学習している人(とくに女性?)が多いようです。

 

さて、多彩なプログラム(交流会、歌、食べ物紹介、大小の講演会、討論会、医療者の会、聖書の会等)がありましたが、私は「韓国の憲法」の講演会に出てみました。
講師は韓国の青年、ペンネーム・スーノさん(男性)です。もちろん全部エスペラントでしゃべって、ときどき知っている日本語の単語を念のために添えてくれました。例えば「(大統領の)弾劾」などです。
スーノさんはこれまでエスペラントでの日韓青年交流会にやその他の会合に参加して、日本の青年たちがエスペラントで日本国憲法、とりわけ第九条について紹介したこと、九条を守る運動が存在していること、日本の憲法九条で自国の平和と非戦を維持しようとしていることに震えるほど感動したのだそうです。
それで自分も自分の国、韓国の憲法のエスペラント訳をコツコツ続けているのだそうです。

 

スーノさんによれば、韓国が独立してから専制的・暴力的・軍事的な政権が続き、改憲がなんどもなされたがたいてい大統領の任期を延ばすための改憲だったようです。
それが市民の革命的な運動によって、かなり民主的な憲法になってきたと、本当にうれしそうでした。特に日本の憲法にはなくて韓国の憲法にある自慢できるものとして、人権擁護の最後のよりどころ憲法裁判所の裁判を詳しく説明してくれました。
これまで、

  • 済州島へのイエメンの人たちの難民流入・滞在の制限(違憲?)、
  • 国会や大統領官邸周辺でのデモ・集会を禁止する法律(違憲)、
  • 良心的兵役拒否者への刑罰(違憲だが当面合法?)、
  • 朴槿恵大統領の弾劾裁判

 

などの案件が取り扱われてきたそうです。いずれも進歩的な審判が下されたとのことです。済州島の件が否定疑問文の否定の答えで、条件も付いていたので、違憲か合憲かはわかりませんでした。
質疑では、男性だけ徴兵制に応ずる義務があるのは他の条文にある男女平等に反するのではないか、毎年どのくらいの人たちが徴兵を拒否するのか、などの質問がありましたが、徴兵の問題は難しいのとデータをご存じないとのことで「そうですね」くらいの回答だったように思います。
次の憲法改正ではもっと民主的な改正になるだろうし、そうしたい。そのために平和と民主主義を韓国に実現するために頑張りたいと話を結ばれました。

 

語り口はゆっくりで柔らかい韓国の青年が、若いけれども広範で力強い市民運動に支えられた韓国の民主主義をメキメキと育て・築き上げていく、力強さ・さわやかさを目の前に見た思いがしました。