いのちと健康を守る「架け橋」に いのちと健康を守る「架け橋」に

事務局日誌

2019年9月3日

「矜恤」(きょうじゅつ)の心と「医の倫理」(韓流ドラマから)

本部のYです。

  最近KBS京都で韓国ドラマ『ホジュン〜伝説の心医〜』というのが始まりました。
  「心医」というのは心療内科や精神科の医師ではなく、「矜恤」(きょうじゅつ:あわれみ)の心ある医師、患者に寄り添い、患者の立場に立つ医師という意味だそうです。
 

  韓国の歴史ドラマは医療を扱ったものが少なくないようですね。『宮廷女官チャングムの誓い』『馬医』『天命』『済衆院』『太陽人イ・ジェマ』『ホジュン~宮廷医官への道~』。全部を観たわけではありませんが、多くが医療のみならず、儒教的価値観(身分差別、男女差別)や制度、貧困とのたたかいが全体を貫くテーマになっているようです。貧富の差のない社会を作るというわけではありませんが、命・健康に分け隔てがあってはならない、という思想は一貫しているようです。
 

  さて、「心医」の主人公ホ・ジュン(許浚)は、医院に弟子入りしたての頃、水汲みを任されます。水場は医院の中にはなく、共同の水汲み場まで出かけねばなりません。
  ところが師匠のユ(柳)医師はホ・ジュンが汲んできた水を飲んで、血相を変えてホ・ジュンを厳しく叱責するのです。

ユ「何だこの水は! いったい誰が汲んできたのだ!」
ホ「お許しください、私が間違っていました」
ユ「間違っていたと言ったな! 間違った水で患者が死ぬことがあるのだぞ!」
ホ「お許しください、私は水には種類があって、水と薬草との組み合わせがあるなどとは知らなかったのです」
ユ「知らなかったとお前は言ったな! 汚い水で調合した薬を飲ませて、患者が死んだらお前は『知らなかった』と言うのか! 戦争よりも軍隊よりも恐いのは医者なのだぞ! お前のような者に医者の修行をする資格はない!」
ホ「お許しください、お許しください!」



  医療の根本には、人命に最大の価値を置く峻厳な『医の倫理』というものがあるわけです。ユ医師は息子にもホ・ジュンにも矜恤の心は医療に厳格に安全性を要求するものだ、医療の求める矜恤の心は厳しいものだと教えるのですが…。

 

 

関連記事
薬害と「医の倫理」