ジゴキシンの作用・副作用・作用機序と国試問題(108回問332等)
本部のTです。今回はジゴキシン(ジギタリス製剤)の作用、副作用、作用機序等について簡単にまとめ、関連する薬剤師国家試験問題を解説してみました。
ジゴキシン(ジギタリス製剤)
主な作用
①心筋収縮力増強作用(強心作用、陽性変力作用)
②興奮伝導抑制作用(陰性変伝導作用)
③心拍数減少作用(陰性変時作用)
⇨心臓をゆっくり強く動かす。
④利尿作用
主な副作用
不整脈、吐きけ(悪心)・嘔吐、下痢など(ジギタリス中毒)
→治療域と中毒(副作用)域が近い薬物であるため、薬物血中濃度モニタリングが必要
作用機序
① 細胞膜に存在するNa+/K+ ATPase(ナトリウム-カリウムポンプ)を阻害。 Na+/K+ ATPaseは細胞内にK+を取り込み、細胞外にNa+を排出する役割を果たしているため、 阻害されると、細胞内のNa+濃度が上昇する。
② 細胞内のNa+濃度が上昇によりNa+/Ca2+交換体(通常、Na+を取り込み、Ca2+を排出する)の作用が低下し、その結果、Ca2+の細胞内への蓄積される。
③ Ca2+の心筋細胞内の濃度が増加すると、心筋の収縮力が増大する。
相互作用
・チアジド系利尿薬、ループ利尿薬
これらの利尿薬によって低カリウム血症が生じると、ジゴキシンのNa+/K+ ATPase阻害作用が増強する。
・HIVプロテアーゼ阻害薬、マクロライド系抗菌薬
P糖蛋白質を介したジゴキシンの排泄の抑制により血中濃度が上昇する。
98回問32 (一部改変)
ジゴキシンの強心作用の機序はどれか。1つ選べ。
- アドレナリンβ1受容体阻害
- Na+-K+-2Cl-共輸送系阻害
- Na+, K+-ATPase阻害
- ホスホジエステラーゼⅢ阻害
- アデニル酸シクラーゼ活性化
正解:3
106回問87
ジゴキシンが投与されている患者について、安全性確保の点からモニタリングが推奨される項目はどれか。1つ選べ。
- ヘマトクリット値
- PT-INR 値
- 薬物血中濃度
- 尿中C-ペプチド値
- 血清尿酸値
正解:3
108回問332
「ハイリスク薬」とその医薬品が引き起こし得る「重大な健康被害」の組合せとして、正しいのはどれか。1つ選べ。
- シクロスポリン:低血糖
- ジゴキシン:不整脈
- フェノバルビタール:網膜障害
- ワルファリン:急性膵炎
- ソタロール:排尿困難
正解:2
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