ウイルス性肝炎のまとめ
本部のTです。
今回はウイルス性肝炎についてまとめました。
薬学生に向けた国試対策の記事ですが、ウイルス性肝炎について知りたい方もぜひご一読ください。
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ウイルス性の肝炎
肝炎ウイルスに感染した肝細胞をTリンパ球が攻撃することで、肝細胞の炎症、壊死が起きます。
慢性肝炎の多くは無症状ですが、全身倦怠感や食欲不振が見られることがあり、急性増悪時や肝硬変に進展した場合は、黄疸や浮腫、腹水、悪心、羽ばたき振戦などが現れます。
肝炎ウイルスの種類
肝炎ウイルスはA型~E型が存在します。表にそれぞれの特徴をまとめました。
それぞれの肝炎の特徴
A型肝炎(HAV)
牡蠣などの魚介類の加熱不十分での摂取などにより経口感染します。
・検査
血中AST・ALT増加など
・予防
γ-グロブリン製剤、ワクチン
・治療
ほとんど自然治癒するため、基本的に治療を要しません。(肝細胞保護効果のあるグリチルリチン酸製剤を用いることもあります。)
B型肝炎(HBV)
血液や体液を通じて感染します。HBVは肝炎ウイルスの中で、唯一DNAウイルスです。
10~20%程度は慢性肝炎へ移行し、重症化すると肝硬変となります。
また、20~30%程度で急性肝炎を発症し、そのうち2%程度が劇症肝炎を発症し、死に至る場合があります。
・感染経路
- 垂直感染(産道感染):母親から新生児への感染。慢性化しやすいです。
- 水平感染:性行為、医療従事者の針刺し事故、過去の輸血。ほとんど慢性化しません。
・検査
- 抗原:HBs→HBe→HBcの順に陽性化(アルファベットの逆順と覚えよう)
- 抗体:HBc→HBe→HBsの順に陽性化(アルファベット順と覚えよう)
HBs抗体は過去の感染を意味し、ワクチンによっても陽性化します。
・予防
- B型肝炎ヒト免疫グロブリン(HBIG)
HBs抗原陽性者には禁忌(重篤な肝障害を起こす)
感染後48時間以内の投与が望ましい
- B型肝炎ワクチン(HBs抗原)
主にHBe抗原陽性キャリア妊婦から生まれた新生児にHBIGと併用で用いられる。
・治療
慢性化した場合は、以下の薬剤により治療を行います。
- インターフェロン製剤 (副作用:うつ症状、間質性肺炎など)
- 抗ウイルス薬(HBV-DNAポリメラーゼを阻害する)
ラミブジン
エンテカビル
アデホビル
テノホビル
↓にHBVの薬のゴロ合わせが載っているので、参考にしてください。
薬学部はゴロでイチコロ
C型肝炎(HCV)
別記事にて解説しています。→C型肝炎と国試解説
D型肝炎(HDV)
B型肝炎ウイルスに感染した患者に重複感染することがあり、B型肝炎の症状を重篤化させます。
E型肝炎(HEV)
生肉などの経口摂取で感染します。
(ちなみに一部の国でワクチンが使用されていますが、日本では使用されていません。)
↓他の国試関連の記事も、よければ参考にしてください。