第108回薬剤師国家試験 理論問題-薬物治療 問191
本部のTです。
多忙のためずいぶん期間が空いてしまいましたが、今回は108回薬剤師国家試験 理論問題-病態・薬物治療 問191の解説をします。
前回の問190の解説はこちら。
目次 | ||
問 191
加齢性黄斑変性(加齢黄斑変性)の病態と薬物治療に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 水晶体の混濁により、視機能が低下する。
- 喫煙は危険因子の1つである。
- 失明に至ることはまれである。
- 薬物治療の対象となるのは、萎縮型である。
- 薬物治療には、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の阻害薬が用いられる。
解説
加齢黄斑変性は、加齢に伴う脈絡網の血管新生が黄斑部(網膜の中心)を障害し、視力低下、失明を引き起こす疾患です。滲出型と萎縮型に大別されます。
選択肢1 ×
水晶体の混濁は白内障に関連する病態であり、加齢黄斑変性の特徴ではありません。
選択肢2 ○
加齢、喫煙、食生活、紫外線曝露などが加齢黄斑変性の危険因子とされています。
選択肢3 ×
加齢黄斑変性は視力の低下を引き起こし、進行すると失明に至ることもあります。
選択肢4 ×
萎縮型加齢黄斑変性には現在のところ有効な薬物治療はなく、主に滲出型の加齢黄斑変性が薬物治療の対象となります。
選択肢5 ○
脈絡膜の新生血管の発現に関わる血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を阻害することで滲出型の進行を抑制することができます。そのため、VEGF阻害薬(アフリベルセプト、ラニビズマブ、ブロルシズマブ、ファリシマブなど)が用いられます。
よって、正解は2, 5です。
・問題に対する個人的な感想:
ラニビズマブについての問題は過去に出題されたことがある(99回問153)ものの、加齢黄斑変性自体についての問題は過去に出題されていなかったので、難しかったかと思いますが、加齢黄斑変性は日本でも増加傾向にあり、今後も国試で問われる可能性があるため、基礎的な部分については勉強しておきましょう。
↓他の国試関連の記事も、よければ参考にしてください。