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事務局日誌

2019年3月29日

誰もが安心して医療にかかれるように

私たちの薬局の加盟する全日本民医連は、2018年の経済的事由による手遅れ死亡事例を発表しました。

636の病院・診療所などで、保険料が払えないことが原因で受診せずに手遅れになった方、保険証はもっておられたが経済的な理由で受診が手遅れになった方の事例を集計したものです。

減らない手遅れ事例

事例の経年的な推移を御覧ください。2010年以降は、保険証を持っていても(または最後には生活保護を利用していても)受診を手控えて手遅れになった方が相当な割合でおられます。

 

 

 

経済的困難50歳以上、独居の方が多く、仕事は無職36%、非正規雇用や収入が不安定な自営業者の方を合わせると7割になりました。

 

 

 

 

 

 

 

死亡原因はがんが多く、がん以外の病死は脳出血や心不全が多かったとのことです。

 

 

 

 

 

 

事例の特徴と京都の事例

事例の特徴については、リンク先(PDF)の8ページ以降にまとめてありますので、ぜひお読み下さい。

『2018年経済的事由による手遅れ死亡事例調査概要報告』
https://www.min-iren.gr.jp/wp-content/uploads/2018/06/190306_04.pdf

京都で報告された手遅れ事例は、古紙回収の個人事業主として働いていた67歳の男性です。古紙回収の車で太子道診療所に来所されましたが、黄疸が出ており一歩進むだけでも呼吸困難という病状。その日のうちに京都民医連中央病院に入院されましたが、多臓器の末期がんとの診断でした。
この方は本来国保に加入すべき職種でしたが、10年以上無保険状態。半年前から呼吸困難、3ヶ月前からは食事が取れなくなるなど、自覚症状はあったのですが、医療費が払えないので、ぎりぎりまで我慢していました。
すぐに病院のソーシャルワーカーの支援で国保に加入し、生活保護の申請もしましたが、約1ヶ月後に亡くなられました。
「自覚症状があっても病院にかかれない、困難が起きても周囲に助けを求められない人達がいらっしやる。手遅れ事例がこれ以上出ないよう、まずは国保料を下げてほしい」と病院のソーシャルワーカーは話しています。

 

 

社会保障制度改革、「医療制度改革」のもとで、社会保障費の伸びは抑制され、今後一層の負担増が進められようとしています。「全世代方社会保障改革」は今回の事例の多くを締めた高齢者に一層の困難をもたらすと考えられます。「手遅れ死亡」を増大させるような「社会保障と税の一体改革」路線はストップし、国・自治体の責任で、憲法25上に基づく社会保障としての医療が求められます。

(担当 本部 エスペランティスト)