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学術研修

2023年10月26日

第108回薬剤師国家試験 理論問題-薬理 問161-162

本部のTです。
前回の108回薬剤師国家試験 理論問題-薬理の解説の続きです。今回は問161-162の解説をします。
前回の問159-160の解説はこちら。次回の問163-165の解説はこちら
 

 目次

 

問 161

利尿薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. トリアムテレンは、遠位尿細管と集合管の Na+ チャネルを遮断して Na+ の再吸収を抑制することで、管腔へのK+の排出を増加させる。
  2. トルバプタンは、集合管のバソプレシン V2 受容体を遮断することで、水の排泄を増加させる。
  3. インダパミドは、ヘンレ係蹄上行脚の Na+-K+-2Cl 共輸送体を阻害することで、Na+ の再吸収を抑制する。
  4. エプレレノンは、遠位尿細管と集合管のミネラルコルチコイド受容体(アルドステロン受容体)を遮断することで、Na+ の再吸収と K+ の排泄を抑制する。
  5. アゾセミドは、遠位尿細管の Na+-Cl 共輸送体を阻害することで、水の再吸収を抑制する。

 

解説

選択肢1:×
トリアムテレンはカリウム保持性利尿薬であり、管腔へのK+の排出を減少させるため、間違いです。なお、トリアムテレンはカリウム保持性利尿薬の中でも、遠位尿細管および集合管のNa+チャネルを阻害し、Na+の再吸収を抑制するNaチャネル遮断薬であるため、その点についての記述は正しいです。

選択肢2:○
トルバプタンはバソプレシン拮抗薬なので、正しい記述です。

選択肢3:×
インダパミドはサイアザイド系類似利尿薬で、遠位尿細管のNa+-Cl共輸送体を阻害しNa+とClの再吸収を抑制します。ヘンレ係蹄上行脚のNa+-K+-2Cl共輸送体は、ループ利尿薬の作用部位です。

選択肢4:○
エプレレノンはカリウム保持性利尿薬の抗アルドステロン薬であるため、正しい記述です。

選択肢5:×
アゾセミドはループ利尿薬であり、ヘンレ係蹄の上行脚にあるNa+-K+-2Cl共輸送体を阻害します。

よって、正解は2、4です。

 

・問題に対する個人的な感想:
利尿薬は頻出なので、覚えましょう!

 

問 162

制吐薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. メトクロプラミドは、化学受容器引き金帯(CTZ)のオピオイドμ受容体を遮断する。
  2. パロノセトロンは、消化管の求心性迷走神経終末や CTZ のセロトニン5-HT3受容体を遮断する。
  3. オキセサゼインは、胃粘膜の知覚神経のニコチン性アセチルコリン受容体を遮断する。
  4. プロメタジンは、胃壁細胞のガストリン受容体を遮断する。
  5. アプレピタントは、嘔吐中枢や CTZ のタキキニン NK1 受容体を遮断する。

 

解説

選択肢1 ×
メトクロプラミドはCTZのドパミンD2受容体を主に遮断します。この作用により胃腸の運動促進と制吐作用を持ちます。

選択肢2 ○
正しい記述です。

選択肢3 ×
オキセサゼインは局所麻酔作用により胃粘膜の知覚神経を麻痺させ、反射性嘔吐を抑えます。

選択肢4 ×
プロメタジンは抗ヒスタミン薬であり、嘔吐中枢のH1受容体を遮断することにより、制吐作用を持ちます。また、抗コリン作用も有しますが、ガストリン受容体の遮断は持ちません。

選択肢5 ○
正しい記述です。

したがって、正解は2、5です。

 

・問題に対する個人的な感想:
制吐薬の基本的な問題です。正解しましょう。

 

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