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事務局日誌

2019年9月14日

知らなかった「ビキニ事件」

本部のTです。
   「ビキニ事件」とは1954年、アメリカが太平洋のマーシャル諸島ビキニ環礁で実施した水爆実験に端を発する漁船やマグロの被爆事件です。あの「ゴジラ」も水爆実験の影響で生まれたことになっています。
   「ビキニ事件」と言えば「第五福竜丸」、「第五福竜丸」といえば乗組員の「久保山愛吉さんが死亡」という【「ビキニ事件」「水爆実験」「第五福竜丸」「久保山愛吉さん」】というセットを残して、頭の中で風化してしまっている方も少なくないのではないでしょうか。あるいは「原爆マグロ」「原子マグロ」をそのセットに加える程度の方もおられるかもしれません。
 


 
   「原爆マグロ」は京都市の中央市場にも入荷しました。

   京都市の衛生研究所の技師がガイガーカウンターを当てて測定する。ガガガァーッと鳴って、野次馬のように見てた全員が跳んで逃げた。
   水爆実験は五月まで続いたからね。五月になると、海の魚どころやない、雨が降ると日本の各地で放射能雨が測定されるようになった。「雨にあたると放射能で髪が抜ける」とか「雨にあたるとアタマがはげる」なんていわれていたのを覚えてる世代は、まだまだ多いと思うよ。(池本周三『魚仲卸を天職にした男』2017年、ふたば書房)

 

 

   『民医連医療』誌 2019年3月号に、元民医連の診療所事務長の岡村啓佐さん(太平洋核被災支援センター副代表)が寄稿された「《ビキニ事件》は、終わっていない!!」を読んで、驚くこと・知らなかったことがたくさんありました。いくつか挙げておきますので、ぜひこの記事を読んでください。

  •   1954年3月1日に始まったビキニ環礁での実験は5月まで続けられたこと
  •   ビキニ事件が報道されるや、政府は「原爆症調査研究協議会」にアメリカとの協議に当たらせたが、日本側の担当者は「731部隊」関係者ばかりで、アメリカの保護・管理の下で戦犯免責された人物たちばかりであったこと。(小林六造、小島三郎、宮川正ら)
  •   小林六造は原爆傷害調査委員会(ABCC)の意向に沿って原爆被爆者の解剖や調査に協力した日本側の責任者であった
  •   「アメリカとの接触は小林六造(原爆症調査研究協議会委員長)を通じて行うものとし、個々の接触は避ける」としたこと
  •   100カウント以上の汚染マグロは廃棄するとしていた日本側の基準に対してアメリカ原子力委員会は500カウントまでは安全と主張し、日本政府はこの主張を受け入れてしまい、1954年末には廃棄処分を中止してしまったこと。(以後、内部被ばくが拡大した可能性)
  •   1955年にはアメリカの法的責任は問われず、賠償金ではなく「慰謝料」200万ドルを受け取ることで政治決着が図られたこと。
  •   ビキニ被災事件を「第五福竜丸事件」だけに矮小化し、他のマグロ漁船と1万数千人の漁船員の被災事実を隠蔽したこと(船体とマグロの被ばくだけを問題にした)
  •   「資料は残っていないし新たな調査は困難、200万ドルで解決済」と答弁してきた「ビキニ事件」について、NHKがアメリカ公文書館で資料を発見するや、政府は隠蔽してきた556隻の資料を公開(2014年)、しかし放射能魚を廃棄した船は1000隻近くになるので、公開された資料は一部にすぎない可能性があること
  •   その後日米政府はビキニ事件を反省するどころか、「原子力の平和利用」として原発を大量に日本に建設するキャンペーンを行い、建設したこと
  •   その推進役を担ったのがCIAのエージェントトリオのひとり正力松太郎であったこと(あとの二人は岸信介と児玉誉士夫)。

 

 

   「ビキニ事件」はアメリカの水爆実験が端緒でしたが、実は日米両政府が、731部隊の生き残りとCIAのスパイを使って事件の真相を矮小化し・隠蔽し、日本を原発列島にしてしまい、フクシマで誰の目にも明らかな国土の喪失・原子力政策の破綻にいたるまで続いている「終わっていない!」事件であったと言わねばなりません。そしてそれに向き合わない・反省しない政府と原子力ムラ。
   第五福竜丸以外に多くのマグロ漁船員が米国水爆実験で被ばくさせられた国家的犯罪を問うビキニ国賠訴訟控訴審(原告29人)は9月12日、高松高裁で結審しました。判決は12月12日の予定です。
 

 

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   リンクはすべて別のタブ・画面で開きます。こうしてみると、如何に「ビキニ事件」について筆者は注意を払ってこなかったか、反省させられます。