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健康・お役立ち情報

2021年3月30日

n-3系脂肪酸(EPA・DHA)と健康(血栓・動脈硬化を抑える)

本部のTです。

食事に含まれる「脂質」について知りたいというご意見をいただきました。
「脂質」全体についてまとめると、記事があまりに長くなってしまいますので、今回は健康の維持のために特に重要なn-3系脂肪酸を中心にまとめてみました。

 

1.脂肪酸の分類

 脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。

 不飽和脂肪酸はさらに一価不飽和脂肪酸、n-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸、トランス脂肪酸に分類されます。

 それぞれの脂肪酸は主に以下のような食品に含まれます。

 ・飽和脂肪酸:肉の脂身、乳製品、卵黄、チョコレート、ココナッツオイルなど
 ・1価不飽和脂肪酸:オリーブオイル、なたね油、ベニバナ油、ひまわり油など
 ・n-3系脂肪酸:青魚、くるみ、えごまなど
 ・n-6系脂肪酸:植物油(ごま油、コーン油、大豆油、サラダ油)など
 ・トランス脂肪酸:マーガリン、ショートニング、加工油脂など

 

2.n-3系脂肪酸・n-6系脂肪酸とは

 脂肪酸の中でも、不飽和結合がたくさんあるものを多価不飽和脂肪酸といいます。多価不飽和脂肪酸は、その不飽和結合の位置によって、n-3系とn-6系に大別されます。(ω-3系とω-6系と言う場合もありますが、意味は同じです。)

 n-6系脂肪酸のリノール酸とn-3系脂肪酸のα-リノレン酸、EPA、DHAの4つは人間の生体内では合成することができません。またn-6系脂肪酸のγ-リノレン酸とアラキドン酸の2つは、生体内でリノール酸から合成されますが、その量は充分ではありません。そのため、これら6つの脂肪酸は食事から摂取する必要があり、必須脂肪酸と呼ばれます。

 

3.脂肪酸の体内での役割

 脂肪酸はエネルギー産生の主要な成分であり、細胞膜の構成成分です。

 特にn-3系脂肪酸のDHAは神経組織の重要な構成脂質でもあります。

 n-3系脂肪酸の摂取は、血中LDLコレステロールの濃度を下げ、血栓をできにくくし、動脈硬化を抑制するとされています。

 

4.n-3系脂肪酸はどれくらい摂取したら良いのか?

 食事摂取基準(2020)では、およそ以下のように目安量が設定されています。

 ・n-3系脂肪酸;
  18歳以上の男性では2 ~ 2.2 g/日。
  18歳以上の女性では1.6 ~ 2.0g/日。

 さば 1 切れ 80g で1.2g、いわし一尾65gで2gのn-3系脂肪酸が摂取できるので、魚を普段あまり食べない方は食事の中に魚を取り入れてみましょう。

 また、飽和脂肪酸(肉の脂身など)は過剰摂取しやすいので、適量を心がけ、健康への悪影響が報告されているトランス脂肪酸(マーガリンなど)は少し控えめにすることを意識することをおすすめします。

 

5.n-3 系脂肪酸も摂りすぎには注意?

 n-3 系脂肪酸も、やはり摂りすぎはよくありません。特にEPAとDHAは、近年サプリメントも一般的に販売されており、手軽に摂取できるので、注意が必要です。

 EPAとDHAの摂りすぎは、血液が固まりにくくなるため、出血しやすくなります。 

 米国食品医薬品局(FDA)は、サプリメントからの摂取はDHAとEPAを合わせて1日2グラムを超えないように警告しています。サプリメントからの摂取と食事からの摂取で過量になってしまうからです。

 また、手術や出血を伴う歯科治療を受ける場合、EPAとDHAのサプリメントを服用されている方は、必ず事前に医師や薬剤師に相談してください。

 (手術前に注意が必要な薬やサプリメントは他にもたくさんあります。普段から、医師・薬剤師には、飲んでいるサプリメントを伝えるようにしてくださいね。)

 

参考文献

  • 厚生労働省「食事摂取基準(2020)」
  • 東北大学病院 NST広報係 ”NST栄養広場” https://www.hosp.tohoku.ac.jp/pc/img/tyuuou/nst_shibo.pdf
  • 月刊糖尿病ライフさかえ 2021年Vol.61 No.2「血管保護の重要性」
  • 全日本民医連 “くすりの話194 サプリメント編” https://www.min-iren.gr.jp/?p=28682

 

 

 

 

 

食事についての記事をあつめてみました。