第108回薬剤師国家試験 理論問題-薬物治療 問188~189
本部のTです。
今回は108回薬剤師国家試験 理論問題-病態・薬物治療 問188~189の解説をします。
前回の問185-187の解説はこちら。次回の問190の解説はこちら。
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問 188
クローン病に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 好発年齢は 40~50 歳代である。
- 大腸に限局した炎症が認められる。
- 初期症状として、便秘が認められる。
- 増悪期に、CRP 値の上昇が認められる。
- 特徴的な内視鏡検査所見として、敷石状潰瘍がある。
解説
選択肢1 ×
クローン病の好発年齢は20歳代を中心とする若年者です。
選択肢2 ×
クローン病の病変は口腔から肛門までの消化管全体に起こり得ます。
選択肢3 ×
クローン病の初期症状は主に腹痛、下痢、発熱であり、便秘は典型的な初期症状ではありません。ただし、クローン病の合併症として腸管の狭窄があり、それによる便秘が起きる場合もあります。
選択肢4 ○
クローン病では、炎症反応により、CRPが上昇します。クローン病の血液検査について覚えていなくても、クローン病では炎症が起きていることと、炎症ではCRP値の上昇が起きることを理解していれば、正誤を判断するのは難しくありません。
選択肢5 ○
クローン病の特徴的な内視鏡検査所見として、敷石状潰瘍や縦走潰瘍があります。
よって正解は4,5です。
・問題に対する個人的な感想:
選択肢3がやや難しいですが、それ以外の選択肢はクローン病に関する典型的な問題で、正解を選ぶのは難しくないと思います。
↓下のリンク先の記事でクローン病と潰瘍性大腸炎について解説していますので、参考にしてください。
問 189
ウイルス性肝炎に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 急性期に黄疸が認められることはまれである。
- A 型肝炎ウイルスは経口感染する。
- B 型肝炎ワクチン接種により、HBs 抗体検査は陽性を示す。
- C 型肝炎は、ワクチン接種により予防することができる。
- C 型肝炎よりも A 型肝炎の方が肝硬変に進展しやすい。
解説
選択肢1 ×
肝炎の症状として、発熱・全身倦怠感・食欲不振・悪心・黄疸があり、これはウイルス性肝炎の急性期でも同様です。
選択肢2 ○
経口感染する肝炎ウイルスは、A型とE型です。
選択肢3 ○
HBs抗体はB型肝炎ウイルスの過去の感染を意味し、ワクチン接種によっても陽性化します。
なお、過去の感染やワクチン接種によって陽性化するのはHBs抗体のみです。
選択肢4 ×
現在、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチンは存在しますが、C型肝炎のワクチンは存在しません。
選択肢5 ×
C型肝炎の8割程度が慢性化し、慢性肝炎が進行すると肝硬変になります。
一方、A型肝炎はほとんどが自然治癒します。
(なお、B型肝炎も多くが自然治癒しますが、1割~2割程度は慢性化し、肝硬変へと進行する場合があります。)
ということで、正解は2,3です。
・問題に対する個人的な感想:
どの選択肢もウイルス性肝炎についての典型的な問題ですので、自信を持って答えられるようにしたいですね。
↓下のリンク先の記事でウイルス性肝炎について解説していますので参考にしてください。
↓他の国試関連の記事も、よければ参考にしてください。