いのちと健康を守る「架け橋」に いのちと健康を守る「架け橋」に

ご利用のみなさまへ

2019年12月16日

無料低額診療事業に関する京都府との懇談を実施(京都民医連)

「京都民医連」として取り組んでいる活動について、その一例を紹介します。
民医連に加盟する薬局・医療機関・介護事業所は、患者・利用者の声に耳を傾け、連絡を取り合いながら生存権・健康権のために活動しています。


(奥側左二人が保険薬局です)

関連記事

 広く地域に無低診(「無料低額診療事業」本文末尾に解説)の情報が届くよう行政からの周知と、無低診適用の患者の保険薬局での薬代助成を求めて、9/19(木)に京都府と懇談を行いました。京都府からは、二つの課から担当の方に応対していただきました。民医連からは府民運動政策部を中心に薬剤部、現場ケースワーカー等8名が参加しました。
 はじめに、民医連を代表して國井次長が、貧困や経済格差が社会問題としてクローズアップされている中で、無低診制度の活用に意義があること、学校現場からあらゆる世代の府民へ、この事業の周知をして頂きたいこと、民医連の調査結果でも無低診利用者は国保加入者が多く、調剤薬局での薬代が負担になっているので、保険薬局でも患者支援が必要であることを伝え、要請しました。

 保険薬局からは、国保加入者の60代の糖尿病の方でインスリンが必要な2つの事例を紹介しました。不安定雇用のため医療費も支払い困難で、負担金の未収金額が10万円にも上っており、分割支払いなどお願いしているとのことでした。
 保険薬局における一部負担金意識調査結果では、4%の患者が経済的理由で治療中断を経験し、保険薬局利用者の13%が無低診を利用したことがあると回答している状況や、学校薬剤師として関わる中で養護教員から食事も十分に摂ることが出来ていない子どもの状況があることなども報告しました。

 病院ソーシャルワーカーからは、困窮者の事例の報告がありしまた。滞納した保険料が年金から引き落とされてしまい、手持ちのお金が少なく、痛みなどをぎりぎりまで我慢して急患で受診し、入院して初めて経済状況が発覚して相談開始となることが後を絶たない。高齢者で介護保険料未納で介護サービスが利用できないため、医療の一部負担金を無低診とし、その浮いたお金で生活を支えるための介護保険料や介護サービスに回すという事例が増えているとのことでした。
 国保の44条(一部負担金の免除)をもっと自治体として活用しないと、無低診の対応だけでは難しいと感じながら相談業務に関わっていると訴えました。
 診療所からも、無低診を利用している方などケースに応じて院内薬局で対応しているが限界があること、小児科でも母親が「今日は払えないから待ってほしい」というケースが就学援助該当ではない世帯でも実際にあることなどを伝えました。

 行政による広報については、たとえば京都府のホームページで無低診事業を行っている医療機関一覧を掲載しているが、府民はその情報になかなか行き着かないので、府民の目に届く機会をつくって頂きたいと要望を出しました。区役所などでも周知のためのパンフもなく、「無料低額診療事業」という言葉も知られておらず、情報が必要な人に行き届いていない現状を伝えました。
 保険薬局での患者一部負担金の助成の要求については、京都府側から「私どもも問題と思っており、国の方にも申し入れをしている所です。補助金や国保料の件は所管外ですが、ご要望があったことは承りました。」とのコメントがありました。

 お金の心配なく受診できる医療機関を周知することで安心して受診に繋がる可能性があります。医療支援が必要な世帯をいち早く見つけるためにも、無低診制度の周知をお願いしました。

 無料低額診療事業とは、低所得者などに医療機関が無料または低額な料金によって診療を行う事業です。無料低額診療事業には社会福祉法に基づく第二種社会福祉事業として実施するものと、法人税法の基準(法人税法施行規則第6条第4号)に基づいて実施するものがあります。いずれの場合も、生計困難者が経済的な理由により必要な医療を受ける機会を制限されることのないよう無料又は低額な料金で診療を行うものです。
 京都民医連のほとんどすべての病院診療所で実施しています。保険調剤薬局での無低診事業は制度として認められていません。