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事務局日誌

2020年8月10日

平和の波、核兵器禁止条約発効まであと6ヵ国!

こんにちは、本部のTです。
この記事は、京都コムファの加盟する民医連の綱領にある「人類の生命と健康を破壊する一切の戦争政策に反対し、核兵器をなくし、平和と環境を守ります」という項目の立場に立って書いています。なので、核兵器禁止条約にも賛成です。
 
 

さて皆さん、このNHKのニュースをご覧になりましたか?
 
 

核兵器禁止条約 新たに1か国批准 発効まであと6か国

2020年8月10日 6時58分
「長崎原爆の日」の9日に合わせて、新たに1か国が核兵器禁止条約を批准し、これで条約の発効に必要な批准国はあと6か国となりました。
今回、新たに批准したのはカリブ海の島国、セントクリストファー・ネービスです。
核兵器禁止条約は、核兵器を国際人道法の原則に反する兵器として開発から使用まで全面的に禁止するもので、3年前、国連で採択されました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200810/k10012560521000.html

 
 

すごいですね。
“セントクリストファー・ネービスのブラントリー外相は「長崎への原爆投下は残虐性と非人道性の極みだ。核兵器を持たない小さな国々が世界の平和に貢献している中で、核兵器に有用な目的を見いだせない。すべての国が人類のための平和と互いを尊重する世界に向けて取り組むことを願う」と発表しました”とのことです。
今、核兵器廃絶への一番の近くて広い道は「核兵器禁止条約」の発効です。

 

 

なのに残念ながら、ニュースは続けてこう書いています。

「広島原爆の日」の6日、アイルランドなど3か国が批准し、そして9日に、セントクリストファー・ネービスが続いたことでその数は44となり、条約の発効まであと6か国となりました。アメリカの核の傘のもとにある日本は、厳しい安全保障環境を理由に条約には参加していません。

 
 

首相は「核兵器禁止条約」に触れず

安倍首相は、「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」と「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」の双方の式典に出席し、挨拶をしました。
 
広島:広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式あいさつ
長崎:長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典あいさつ
 
ふたつのあいさつ文がほとんど同じだったとか、広島では「一発の原子爆弾により廃墟(はいきょ)と化し…」と述べたのに、長崎では「75年前の今日、一木一草もない焦土と化した…」と「原爆」にも言及しなかったなど、細かいことにはこれ以上ここでは触れますまい。

 
 

問題は核兵器禁止条約には一言も触れなかったこと。
「我が国は、非核三原則を堅持しつつ、立場の異なる国々の橋渡しに努め、各国の対話や行動を粘り強く促すことによって、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組をリードしてまいります」
としか述べませんでした。そもそも日本は「核兵器金条約への参加は核抑止力の正当性を損なう」と「核の傘」「抑止力論」にしがみついたままです。核兵器が必要という立場です。それでいて、核兵器のない世界にむけて、いったいどんな「橋渡し」ができるというのでしょうか?

 
 

国際社会の不可逆的な流れ

関西学院大学法学部の冨田宏治教授は、核兵器禁止条約の採択という歴史的な出来事の背景について次のように述べています。

核兵器禁止条約の採択という達成の背景には、国際社会の不可逆な4つの流れが確実に存在しています。4つの流れとは、

  1. 大国の拒否権を許さず、一国一票による多数決と市民社会の参加を内容とする民主主義の流れ、
  2. 大国による「力の支配」から全ての国ぐにが平等に法に服すべきだとする「法の支配」への流れ、
  3. 自国の安全保障を核兵器の使用の威嚇によって得ようとする「核抑止力」論を、「人間の尊厳・個人の尊厳」を守り、核兵器廃絶の実現へ核兵器の非人道性を告発する立場から拒否する流れ、
  4. あらゆる国際紛争を外交的・平和的に解決しようとする流れです。

(民医連医療 No.575/2020年8月号)

 
 

日本政府や核保有諸国の核兵器の力に固執する態度は、こうした国際社会の歴史の流れに逆らい、核兵器の非人道性を訴える立場と抑止力論とが両立しえないことを無視して、地球を大国と核の恐怖で支配させるものといえるでしょう。
 
 
 

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